全裸で晒されても止まらない…江戸の男女を狂わせた「心中ブーム」の異常すぎる熱狂と幕府の苦悩
なぜ江戸で「心中」が大流行したのか?文学と現実が煽った純愛ブーム
江戸時代の恋愛文化で、意外に重要なのが心中です。男女が一緒に死ぬ行為が、悲劇であると同時に美しい恋愛として受け止められる風潮が生まれていたのです。
その背景にあったのが、浄瑠璃や芝居の人気です。享保年間(1716~1736)には心中を題材にした作品が流行し、その中で近松門左衛門や井原西鶴の作品も広く知られるようになりました。
江戸時代の心中事情に関して、下記記事でも詳しく紹介しています。
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例えば近松の『心中刃は氷の朔日』などは、実際の男女の事件を題材にしたものです。
当時の江戸は、まだ上方文化の影響を強く受けていました。大阪では心中の流行がとくに激しく、大阪新町の遊女などにも実際の心中事件が相次いでいたそうです。
東海道や船便の発達によって上方の文学、芸能、音楽などが江戸に流れ込んだことで、心中を題材にした作品も江戸へ伝わっていったのでしょう。
そこで現実の事件が近松や西鶴によって作品化されたことで、現実の事件が文学作品のネタになり、その作品がまた心中ブームを盛り上げるという「現実↔文学」の循環が生まれていたのです。
ちなみに、1774年(日本で言えば安永3年)に発表されたゲーテの『若きヴェルテルの悩み』も、若者の心中ブームを呼び起こしたと言われています。文芸作品がこうした形で人の感情を動かすという出来事は、意外とあるものなんですね。


