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「同じ穴の狢(むじな)」って結局なに?むじなの正体と“同じ穴”になった意外な理由
そもそも「狢(むじな)」とは?
「同じ穴の狢」という言葉がありますが、この“ムジナ”って、一体何なのでしょうか?
現代では「狢」という特定の動物は存在しませんが、古くは主にアナグマのことを指していました。 しかし、昔の人はタヌキとアナグマの区別があまりついておらず、場所によってはタヌキを「むじな」と呼んだり、あるいは両者をひっくるめて「化け物」扱いしたりしていました。
実は登山が趣味の筆者も、一度アナグマを見たことがありますが、山野と同系色すぎて狸なのかアナグマなのか、一瞬判別できませんでした。しかも両者ともすばしっこくすぐ逃げてしまいます。
なぜ「同じ穴」なのか?
これには野生動物の面白い生態が関係しています。
・アナグマは穴掘りの名人: アナグマは地下に立派な巣穴を掘ります。
・タヌキはちゃっかり者: 自分ではあまり穴を掘らないタヌキが、アナグマが掘った巣穴に勝手に住み着いたり、居候したりすることがあります。
この「別の種類の動物が、一つの穴を共有して一緒に暮らしている」という実際の観察例から、「姿は違えど、中身(正体)は同じ穴に住む化け物仲間じゃないか」と言われるようになったとされています。
ちなみに、地方によっては「キツネ」と「タヌキ」が同じ穴にいたという目撃談からこの言葉が生まれたという説もあります。いずれにせよ、「化かして人間を困らせる連中は、みんな繋がっている」という当時の人々の警戒心が込められた言葉ですね。
なぜ化かすのはキツネやタヌキ?
日本において、なぜ「キツネ」や「タヌキ」が化ける代名詞になったのでしょうか。その謎を紐解いてみましょう。
人里に近い「境界」の生き物だった
キツネもタヌキも、深い山奥ではなく、人間の住む集落に近い「里山」に生息しています。
神出鬼没: 夜行性で、夕暮れ時(逢魔が時)にふらっと姿を現し、すぐに消える。そのミステリアスな動きが「幻覚を見せられたのでは?」という想像を掻き立てました。
擬態のプロ: タヌキは驚くと擬死(たぬき寝入り)をしますし、キツネは茂みに隠れるのが非常に上手です。こうした「消える」「死んだふりをする」といった行動が、変化(へんげ)の能力として解釈されたのではとされています。
鳴き声や足音の不気味さ
昔の夜は現代とは比較にならないほど暗くて静寂。
キツネ: 絵本での定番「コンコン」ではなく、実際には「ギャーッ」という鋭い鳴き声を上げます。これが闇夜で響くと、まるで女の人の叫び声や、物の怪のように聞こえます。
タヌキ: 夜行性なので、餌を漁りに民家の床下や屋根裏に入ることもあり、そのとき大きな音を立てて歩いたり、物を動かしたりする習性があります。これが「正体不明の物音」として恐れられた可能性があります。
宗教と外来文化の影響
キツネ(稲荷信仰): 稲荷神の使いとして神聖視される一方、大陸から伝わった「九尾の狐」のような、人をたぶらかす妖術使いとしてのイメージが混ざり合いました。
タヌキ(仏教・中国の影響): 中国では古くから山猫や怪しい獣を「狸(り)」と呼んでおり、その知識が日本に伝わった際、日本のタヌキ(ムジナ)にそのイメージが上書きされたと言われています。
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