大河『べらぼう』で男色家・平賀源内が愛した実在の女形・瀬川菊之丞はお江戸のインフルエンサー【前編】
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第2話では、男色家の平賀源内(安田顕)が、恋人の女形役者・二代目瀬川菊之丞(三代目・花柳寿楽)の生前の姿を思い出し、涙を浮かべる場面が評判になりました。
花の井花魁(小芝風花)が、瀬川菊之丞になり変わり男装の役者姿で舞う場面も美しかったですね。
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瀬川菊之丞は実在の女形歌舞伎役者で、「明和きっての美人」として浮世絵師の鈴木春信などが好んで描いたほどの美しい女形だったそうです。
姿も所作も美しかった瀬川菊之丞
ドラマでは、蔦重(横浜流星)が妓楼・松葉屋に平賀源内を連れていきます。
源内は、「『瀬川』に会いたい」と所望するも、女将が「『瀬川』はもう継ぐ人間がいない」と断ると「そうか、ここにも『瀬川』はいないのか」と呟やいたのでした。
瀬川というのは松葉屋で代々続いている有名な花魁の名前です。
けれども、花の井花魁は源内の表情を見て、会いたがっているのは松葉屋の名妓・瀬川ではなく、源内の恋人で30代で世を去った女形・瀬川菊之丞のことだと察します。
そこで、花の井は男装をして源内に「自分を瀬川菊之丞だと思ってくれ」といいます。
「引け四つ(※)までのたかが戯れ。咎める者もおりますまい」という花の井。
男装の花の井が舞う姿と、菊之丞が舞う場面が交錯する場面。
源内が花の井の舞を眺めながら、ありし日の菊之丞を思い出して目に涙を浮かべる場面は、SNSでも大評判になりました。
瀬川菊之丞を演じたのは日本舞踊家の三代目・花柳寿楽さんで、歴代の大河ドラマでも「所作担当」をしている方で、「どうりで美しいわけだ」と納得の声が挙がっています。
※引け四つ:遊女が張見世(店頭の格子窓の内側)を引く時刻。