性欲に翻弄された僧の果て…修行僧が苦しんだ”地獄の去勢風習”「羅切(らせつ)」とは?
去勢とは、生物の生殖器を切断することです。
動物の場合は過剰な繁殖を防ぐ目的に利用され、人間においては刑罰や宗教的風習、芸術文化のため行われる傾向があります。
今回は、日本に存在した去勢の風習「羅切(らせつ)」についてみていきましょう。
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羅切とは
羅切とは、男性の外部生殖器を摘出する行為のこと。
修行の妨げになるという理由で、仏教の僧が羅切するケースが確認されています。
語源は、仏教の起源であるインドの悪魔「魔羅(マーラ)」に因んで男性器を「マラ」と呼んだことに由来しており、魔羅を切断するという意味で「羅切」と名付けられました。
偽羅切僧
ときは平安時代。
修行の過程で陰茎(男性器)を切断する必要があった修行僧ですが、彼らのなかには羅切を演じることでやり過ごそうと考える者も少なくありませんでした。
しかし、当時の羅切は珍しいことではなく、知識のある者が診察すれば偽物であることが簡単に見破られてしまいます。
嘘がバレた修行僧は、偽羅切僧として嘲笑の対象になったのです。
また当時、浄土宗・遵西(じゅんさい)に感化された後鳥羽上皇の女房たちが姿をくらませて出家するという事件が発生。
激怒した後鳥羽上皇は責任を遵西に押し付け、羅切と斬首の刑に処したといわれています。
このように、平安時代における羅切は処刑にも用いれる過酷な行為だったのです。
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