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今昔物語集の素敵エピソード!尊すぎる…勘違いから夫婦が復縁、男が思い出した大切なこと

今昔物語集の素敵エピソード!尊すぎる…勘違いから夫婦が復縁、男が思い出した大切なこと

蛤を「焼いて食いたい」!?

「先日、童に届けさせた贈り物は如何かな?まだ取置いてくれてあるかな?」

【原文】「何(いつ)シカ彼ノ奉リシ物ハ侍(はべ)リヤ」

と、男がニッコニコで(打咲て。うちゑみて=笑みて)尋ねたところ、新妻はきょとんとして

「贈り物なんてなかったわ。何それ?」

【原文】遣(おこせ)タリシ物ハ有シ(あらじ=無い)。其レハ何物ゾ」

んんん!?

男は俄かに戸惑ってしまいました。まさか、贈り物が気に入らなかったので、意地悪を言っているのでは?

「いや、小さな蛤の貝殻にじゃな。それは房やかなる海松が生えておったのを難波の浜辺で見つけたのじゃ。その様がたいそう風雅であったゆえ、そなたに贈らせたのじゃが……」

【原文】「否ヤ、小キ蛤ノ可咲気(おかしげ)ナルニ海松ノ房ヤカニ生出(おいいで)タリシヲ、難波ノ浜辺ニテ見付テ、見シニ興有ル物也シカバ、急ギ奉リシハ」

男がしどろもどろに説明すると、新妻は生唾を呑んで言いました。

んまぁ~蛤ですって!?私、焼いて食べるの大好きですのよ。海松なら……そうねぇ。酢の物とか……」

【原文】「……(前略)……蛤ハ焼(やき)テ食(くひ)テマシ。海松ハ酢ニ入レテ食(くは)マシ」

んんん!?

男は又もびっくり……と言うか、何だかドッ白けてしまいました。

(うーむ……こやつは「そういう女」であったのか……

……まぁ、気を取り直して、とりあえず童には八つ当たり……もとい「お仕置き」が必要そうです。

4ページ目 風雅を解する妻と、夫の改心

 

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