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蚕の食べる桑の葉から
蚕は絹を産み出す貴重な収入源として、養蚕の盛んだった東北地方では「おしらさま」、群馬や茨城などの地域では「おかいこさま」として神のように祀られていました。
蚕が食べる桑ノ葉には魔除けや雷を避けるご利益があるとして信じられており、雷が鳴ったら桑畑に駆け込んだり、近くに桑畑がないときは「遠くの桑原」と唱えることもあったとか。
ちなみに桑というのは中国でも神聖な樹木として扱われており、地理書『山海経』では扶桑という木があり、そこから太陽が昇ってくるという伝説がありました。古代日本でも桑は中風を防ぐ霊力がある木とされていました。
蚕が食べるから桑が神聖なのか、蚕が神聖だから桑に霊力が宿るとされていたのか、どちらかわかりませんが、いずれにしても大切に信仰されていたことは間違いないですね。
不思議な言葉の裏に、こんなにたくさんの伝承が隠されていたのですね。
参考文献:『ウェストンの明治見聞記 知られざる日本を旅して』新人物往来社、『大辞林』三省堂
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