恋人のときは名前で呼び合っていたのに、結婚するといろんな呼び名に変わる日本。奥さん、かみさん、妻、嫁、女房、家内…。
名前で呼ばれなくなったという人も多いのでは。もちろん中には恋人のときと変わらず、名前で呼び合っているという夫婦もいるかもしれませんが、子供が生まれて親になったり、結婚生活が長くなると、呼び名が自然と変わることが大半です。
そして、この呼び名って、その夫婦のあり方というか関係を表していると思うのです。たとえば妻を「家内」と呼ぶ人は、呼び名の通り、家の中にいてほしいと願い、専業主婦で家をしっかりと守っていて欲しいと思うタイプ。
一方、「妻」と呼ぶ人は、共働きの人に多く、お互いに自分の時間を謳歌するタイプ。「奥さん」と呼ぶ人は新婚に多く、「うちの奥さん、料理が上手で…」と職場や飲みの場でのろける人が多い気がします。あくまで、私の意見ですが…。
江戸時代の妻の呼び方のバリエーションの多さ
それはさておいて、今でもこんなにいろんな呼び名があるのに、はるか昔、江戸時代はさらに輪をかけて呼び方のバリエーションが多かったのです。
妻の呼び方は、細かく分かれ、、、
- 将軍の妻は「御台所(みだいどころ)」
- 大名家は「御内室(ごないしつ)・奥方(おくがた)」
- 旟本は「奥様」
- 御家人は「御新造(ごしんぞう)」
- 上層の町人は「御内儀」
- 町方は「女房」
- 庶民は「おかみさん」
と、実に様々な呼び方がありました。
江戸時代は、身分や階級によって、妻の呼び名が違ったのです。
もし今の時代にそんなことがあったら、玉の輿婚を狙う女性が増えるか、結婚なんてしてもつまらんと独身生活を謳歌するかどちらか、かもしれませんね。仮に結婚しても、心が折れちゃいそうです。
どちらにしても、江戸時代の女性が、辛抱強くそして逞しいのは間違いないでしょう。でもそういう世の中だったから、当時はその文化を受け入れ、女性同士手を取り合って生きていたのかもしれません。
結婚してこんな風に呼ばれたい、呼ばれたくないという声があるとしても、身分や階級によって決まるわけではない分、今の時代は充分恵まれているんでしょうね、きっと。
トップ画像:千代田之大奥 歌合 橋本(楊洲)周延画