【豊臣兄弟!】利家の裏切りではなく“勝家の愛”を描いた第32回『賤ヶ岳の決闘』を史実と共に考察:3ページ目
信長亡き後の「織田を守る」ことに夢はない
「又左、わしは天下人になる」と、秀吉に天下人宣言をされた利家。
「思い上がるな。サルにそのようなことができるわけがなかろう」と怒ったものの、想像を絶する言葉を聞いて衝撃を受けていました。
信長亡き後の織田家の存続だの血統だのまったく眼中にない「百姓あがりのサル」だからこそ抱ける野望。
こんな夢に「一緒にやろう」と誘われたら、動揺しつつもワクワクするのではないでしょうか。
そんな思いが表情に現れていましたね。
その後、勝家たちとの腕相撲大会での場面。勝家に勝った利家は「褒美をやる、言ってみよ」と促され、「天下人になって新しい世を作ってくだされ。その手伝いがしたい」と願いをぶつけます。
けれども、勝家には「上様が作った織田家を守り三法師様を天下人にするのが務め」だと拒絶され突き飛ばされてしまいました。
このときの利家の目に浮かんだのは絶望ではないでしょうか。
「申し訳ございません」と「余計なことを。口が滑った」と詫びたものの、「まだ幼い三法師を守り続けていつか天下人に担ぎ上げる」という親父殿の計画にはまったくときめかなったはず。
このときに、勝家との決別を決めたのではないでしょうか。
背中しか見えませんでしたが、親父殿はそんな利家の思いを察したように感じました。
願いは「他の者と果たせ」と告げる愛
雪がちらつく中、勝家 VS 利家の「賤ヶ岳の決闘」が始まりました。
結果は、勝家の勝利。利家の首に刀を突きつけながらも「うぬのような弱き者の首を切っても寝覚めが悪いだけだ。」と突き放すし、命はとりませんでした。
「わしは親父殿に上様の跡を継いで欲しかった。」と慟哭する利家に、「自分は織田家の家老、柴田勝家。今更変わることなどできん」という勝家。
あえて「織田家の家老」と名乗りをあげるところに、勝家の誇りの高さと利家に対する戒めの思いを感じます。
信長亡き後の血筋を支えお家を守るだけの生き方はもう古いかもしれない、しかも信長には到底及ばない後継者だ、けれど、いまさらその生き方を変えることはできないという、勝家の覚悟ある生き様が伝わってきました。
この思いや考えは、「敵対はやめてともに生きよう」と言いにきた小一郎に対するお市の言葉も同じでしたね。
「死にたくなければわしを殺せ」と利家に伝えた勝家。
「織田家を滅ぼすなら私を殺してみよ」と小一郎に伝えたお市。
二人とも、「『新しい世』を作るなら、確固たる信念を持つ我らを殺し実現しろ。その覚悟がなければ到底叶うわけない」という思いは共通しています。
ただ怒っているのではなく、後進への諭しと愛のある言葉です。
