【豊臣兄弟!】利家の裏切りではなく“勝家の愛”を描いた第32回『賤ヶ岳の決闘』を史実と共に考察:2ページ目
「ずっと雪がいい」まつの本音が利家を揺さぶる
「豊臣兄弟」では、秀吉がいきなり雪深い利家の城を訪ねてきました。
「こんなところに来られては、お前と内通してると疑われる」と怒る利家。
秀吉は「お前と会いたかった」と言いつつ、寧々や養女に出した豪姫の話題を出し昔からの付き合いじゃないかと情に訴えます。
通説の内通説と友情説を取り入れた演出でしたね。
さらに、利家が離脱する動機として強調されたのは、秀吉が訪れてくる前に妻・まつ(菅井友香)と交わした言葉です。
「雪は北国に平穏をもたらしまする。」「いっそ、この日の本じゅうに、ずっと雪が降ればいいのに」という、予告でも注目されたセリフでした。
前田家を守った賢婦人でも「雪が降り続いて戦など起こらねばいい」と、常日頃心の中では願っていたというストーリー。
そんな妻がふと漏らした本音に、「死と隣り合わせの日々が続く世の中ではなく、平穏に暮らせる新しい世の中にしたい」と考えたのではないでしょうか。
もちろん、史実でまつがそのようなことを語ったという史料はありません。
利家との間に2男9女(計11人)を授かったまつ。
賤ヶ岳の戦い後は秀吉との和議交渉、末森城の戦いでの軍資金進言、関ヶ原前夜の自ら人質となっての江戸下向など、前田家存続のために極めて実践的・現実的に行動した、肝の座った女性というイメージが強いものです。
けれども、このドラマの根底には「殺戮である“戦”を美化しない」「平和への願い」が流れていると感じます。
特に最近では、「こんな世は間違っている」「こんな世はもうたくさん」という言葉が登場しますよね。
どんなに気丈なまつでも「戦乱の世が終わればいい」と願っても不思議ではないでしょう。
