朝ドラ【風、薫る】フユは本当に嫌な先輩?実在モデル・吉村セイは若き看護婦を導き慕われた“人格者”だった:2ページ目
実在の人物、吉村セイは後進の指導に熱心だった
ドラマの中の永田フユのモデルは、実在の人物「吉村セイ」という20年以上のキャリアを持つベテランの看病婦でした。
実際は、後進の指導にも熱心な人格者で、吉村セイは大関和ら見習いにも惜しみなく器械出しや大怪我の患者の応急処置など自分の知識やスキルを教え、母親のように慕われていたそう。
「やる気がなく仕事が雑な看病婦」ばかりを見て呆れていた大関和は、セイを見て「正式な看護を学んでいなくても、現場で経験を積みスキルを身に付けた熟練看病婦もいる」と知り、「養成所で学んだ自分たちこそが本物の看護婦」という思い上がりを恥じたそうです。
ドラマのフユは、登場からつっけんどんで感じが悪く、患者の対応もガサツで、“ナース7”をちょっと小馬鹿にしているような人物として、実際のセイとは異なるキャラに描かれています。これは、大関和が経験をした「先輩看病婦と後輩看護婦がお互いに助けあう」プロセスを描くために、設定したのかもしれません。
正しい知識を学んだトレインド・ナースと、数十年も現場で経験を積んだ年配の看病婦。まったく異なるようですが、どちらも「働く女性」。そして、「女中風情が」「金目当てで病人の世話をする賎業」と、世間や(時として家族にも)医師からさげずまれ差別を受けてきた……ということは共通しています。
頭に刻む「学問や知識」も身体で覚える「経験や体験」も両方、必要。
その両者が、お互いの偏見を捨て手を結ぶことで、日本の「看護」はより強靭なものになっていったのです。
3ページ目 明治時代「看病婦は吉原のやり手婆さん」だったことも
