朝ドラ【風、薫る】どこまで史実?忠実に再現された手術シーンが話題…白衣も手袋もない明治時代の病院描写:5ページ目
大きな手術をする患者に寄り添うりん(大関和)
現在の手術を経験している者にしてみると、この時代にどれほど手術をすることが怖かったことか。千佳子の乳がん手術の成功率は20%。しかも、乳房を切除するという大きな手術。
手術の恐怖・乳房を摘出することの恐れ・了後への不安・夫への遠慮など、胸中に渦巻いていたのではないでしょうか。診察も、男性医師たちや夫の前で着物を脱ぎ乳房を曝け出すのは、恥ずかしく誇りも傷付きます。
さらに、看病婦たちは「何の薬?」と聞いても「医師に言われただけ」と答えるし、お茶の淹れ方はガサツ、換気のため窓を開けているのにガンと閉めるし……すべてが癇に障り「病院を出ていく!」という、千佳子の気持ちはわかります。
けれど、当時の看病婦たちは、プロの看護学を教えてもらっていません。医師や患者の下女扱いだったので、いきなり気持ちに寄り添ったり「おもてなし」をしろといっても無理な話。
史実では、大関和は日本の今までの古い看病婦への扱いをやめ、「看護」とは何かを皆が学べるように奮闘します。今回の展開(先輩看病婦たちの手荒い仕事ぶり)は、その伏線があるかもしれませんね。
気むづかしい千佳子を「observe=観察」
バーンズ先生は「患者と楽しく会話や挨拶」をしたがったりんの甘さを手厳しく叱りました。まさに正論ではあるのですが、普通に挨拶をしたり日常的な会話をすることで患者さんが喜んでいる様子も描かれました。
実際、大関和さんは患者に寄り添う人で、大関さんが病室に入ると患者さんの顔が明るくなったそうです。
泣いたり縋ったりすることなく凛然と生きてきた誇り高き伯爵夫人。そんな彼女の扱いに困り、病院はりんに担当を押し付けよう(失敗はすべてりんのせいにすればいいと)という魂胆のようですが。
まっすぐでど根性のあるりんのこと。きっと千佳子の様子をナイチンゲールの本で教わったように、きちんと『observe=観察』して、彼女の心に近づき信頼を得るのではないでしょうか。
最後に
「風、薫る」で知る、明治時代の病院の様子や、社会格差があった医療の状況。興味深く観ると同時に、改めてこの明治時代から令和の時代まで、医療・医療機器・看護などの発展に努めてきた人々の努力には頭が下がる思いになります。
(最近、大病院で乳がんによる乳房全摘手術をした友人がいるのですが、その手術の的確さ・先進的な傷のケア方法・回復の速さに、医学の進歩を感じたので、よけいリアル)
のちに「日本のナイチンゲール」とまで呼ばれ、大きな貢献をする大関和さん。頑張れ!負けるな!桜井看護婦養成所の“ナース7”たち!
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参考:明治のナイチンゲール 大関和物語 田中ひかる




