『豊臣兄弟!』人質は万丸だけではなかった…光秀・お市・義景まで縛った第16話の残酷な構図を考察:4ページ目
人質から夫・長政を支える大切な妻となったお市
かたや、お市も浅井家の『人質』でした。
けれど、「人質とは思っておらぬ」という長政の誠実な愛情を知り、兄よりも夫が大切な人となりました。
静かな夜のひと時。
姉川大合戦で討死した浅井家の家臣たちの名前を一人一人挙げ、「みな、かけがえのない武者たちであった」と静かに語る浅井長政(中島歩)。相変わらず、声がいい。
「わしが死なせたようなものじゃ。」という長政に、「それほどの者たちであれば浅井のために散ったことを悔いてはおりますまい。なのに殿が悔いていては、その者たちが浮かばれません。」というお市。
お市らしい。叱責してお尻を叩いているように聞こえますが、長政をとても気遣った優しい言葉です。
「そのものたちの死を無駄にしてはなりません。」
頷きながら「織田殿がなぜこれほど強くなったのか今わかった。そなたが側で支えておったんじゃな」と涙声になる長政。
「ただ、今はもう、そなたは織田殿のそばにはおらん。」と悲しそうに微笑み、涙をすすりあげ上を向きつつ、泣きそうな顔で「いい気味じゃ!」と心に思ってもいない言葉をいいます。
ずっと、とてもいい人な長政。そんな長政に寄り添い手を添えるお市の頬を伝う涙。人質から最愛の妻となったお市。
「そなたは、もう、わしのものじゃ!」という表現ではなく、「そなたはもう、織田殿の側におらん。」という言い方をする長政。この時代にありがちな「妻=所有物」とは考えていない長政。推せます。
その直後。夜景を見つめていた信長が、まるで長政の声が聞こえたかのように、急に孤独の表情を浮かべて外に背を向けたのが印象的でした。
最期に
甘えん坊で泣き虫の子を思うともの気持ちが辛過ぎた回でした。そして、光秀もあまりにも辛い、長政も辛い回。
比叡山延暦寺はいろいろな解釈の創作物があります。
このドラマでは、姉川の合戦で「あらゆる戦いに、本質的な勝者などいない」と悟り、「こんなことをするために侍になったのではない」と信長の命令に反抗して人々を逃した藤吉郎が描かれました。
無辜の者たちを斬るという傲慢な行為は、意に反したのでしょう。
けれど、今はそんな藤吉郎も、のちに万丸が豊臣秀次になったとき、一族郎党を河原で処刑するという残酷な天下人になってしまうのは皮肉です。(ドラマではそこまで描かれるかどうかわかりませんが)
次回、17回『小谷落城』、予告では、涙・涙・涙に濡れた長政とお市。「守るために滅びる」の言葉とともに映し出されたお守り袋と、浅井家の家紋「三つ盛亀甲」の石のようなものが。長政は別れのとき、このお守りをお市と娘に託すのでしょうか。
もう少し『小谷落城』は先に伸ばしてほしい…と、思ってしまうのでした。
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