朝ドラ【風、薫る】“怖い。人が” りん(見上愛)の呟きが刺さる…明治のコレラと令和のコロナに共通する差別と恐怖:2ページ目
感染した者、看病する者へのいわれなき差別
ドラマの2話では、隣村コレラが発生しているにもかかわらず、村人たちは夏祭りを開催しました。「宿屋の旅人が一人感染しただけ」とゆるめに考えていたようです。
経口感染、汚染された手指が触れたものから感染するとされているコレラ。祭りの場面では、罹患したと思われる路上のうなぎ焼きの主人、被ると裏に唇が触れるであろう祭りのお面、口で吹くシャボン玉、回し飲みする酒、素手を口に突っ込む獅子舞……など、はらはらする場面が続きました。
この夏祭りで、感染が拡大したのかもしれません。
感染した家の門戸には「コロリ」の札が貼られ、看病で出入りする者は「そんなに金が欲しいのか!」とさげずまれ、患者を出した家の者は「申し訳ありません」と村人に頭を下げまくる次第。
「感染したのはその人のせいではないのに」と理不尽さを覚えるりん。ドラマではコレラの感染拡大で身近な人を失っていくことで、看護の道を目指すようになるのでしょうか。
まるで、2020年からのコロナ感染流行拡大を彷彿する場面。感染した人が責められ、患者を受け入れする病院やクリニックに嫌がらせの電話や張り紙が相次ぎなど、常軌を逸した行動の数々がテレビでもSNSでも取り上げられたことを思い出します。
1〜2話のネットでの感想をみると「昔のこととは思えない」と、誰しもが感じたようです。
『風、薫る』のドラマの発想はコロナ禍での体験から
昔は、コレラ流行時、民間で根拠のない療法が流行りました。
・コルクを焼いて粉にして飲む
・トラの骨を使った薬を薬問屋が販売
・玄関にヤツデや5月節句の幟や門松を飾る
・疫病退散のために金や太鼓を叩いて狼煙をあげる
・生水よりも炭酸入りの飲料ラムネが効く
など。ラムネは爆発的に売れたそうです。
令和のコロナ禍のときも、疫病病封じの妖怪「アマビエ」のイラストやグッズが流行りましたね。
脚本家の吉澤智子さんによると、この『風、薫る』の話を受けたのはコロナ禍明けの頃だとか。コロナの経験から、看護と医療、公共の福祉、医療と社会のバランスの難しさを改めて強く感じたそうです。
それを踏まえ「世の中に『看護』という概念が日本に根付き始めたときの難しさや、看護学の発展の原点を描きながら、今に通じる物語を描くのは面白いのでは」と思ったそうです。

