【豊臣兄弟!】残酷な史実の前フリに…浅井長政(中島歩)のお市(宮﨑あおい)への“誠実な愛情”を考察:4ページ目
「生きて帰ること」直の願いが小一郎の中で生きていた
そして、今回、もうひとつ胸キュンで泣かされたのが小一郎の「本圀寺の変」での誠実な言葉でした。小一郎の中に直(白石聖)の願いは生きていると思わされた場面。
三好三人衆に襲撃され、小一郎と明智光秀(要潤)に「もはやこれまで。そなたらは逃げ延びろ。わしの命と引き換えに将軍殺しの悪名を、末代まで背負わせる。それを知らしめて欲しい」と覚悟を決めた足利義昭。
けれど、小一郎は、
「将軍殺しの悪名などすぐに忘れられてしまう。侍はともかく百姓にとっては誰が将軍様でもさして違いはございません。百姓はみな、その日その日を生きていくのが精一杯じゃ。潔う死んで満足するのは侍だけでございます。」
「百姓はどんなに不作でもどんなにひもじくても泥水すすっても生きようとする。なぜなら次の年こそ豊作になると信じているからじゃ。」
と誠心誠意語ります。
そして義昭に近づき「公方さま、豊作の世にしてくだされ。無様でも生き延びてくだされ」と説きます。
このドラマの根底にずっと流れている「生きて帰ること」。
直の「生きて帰ってくれば十分じゃ」
秀吉の「生きているだけでお手柄じゃ!」
というセリフを思い出します。
「わたしの身にもなってくだされ。ここで公方さまを死なせたら兄者からも殿様からも大目玉じゃ!」と、緊張感をほぐすところは小一郎らしい。
「なんじゃ、結局は自分のためか」と光秀に突っ込まれて「みなのためじゃ!」と笑いを導きます。小一郎の「みんなのため」は、直の「小一郎はみなが満足しないと気が済まない」と言っていた言葉と共鳴していますね。
公方さまが「こ、こんなこと、誰かに言われたの初めて……」みたいに受け止めて、笑いつつも涙をこぼす場面もよかった。
小一郎の心の中には、岐阜城の上で直の幻に誓った約束が息づいていました。「きれいごと」と言われようが、それが直が見たがった世界。こんな風に、たとえ結婚しても、直は小一郎の中に信念として生き続けて行くのでしょうか。
将軍の自分にも臆さずに物申す小一郎、タイミー「侍」を集めていかにも織田の軍勢が駆けつけてきたように図る藤吉郎の知恵、「絶対に兄者は助けに来てくれる」と固く信じている弟。
この兄弟が欲しいと願う義昭の気持ちもわかります。
もしかしたら、役立つというだけではなく、兄を妬ましく感じていた弟だった自分としては、この兄弟の絆の強さを側で見ていたいのかもしれません。
最後に
今回も、胸キュンあり、涙あり、「屁」騒動あり(「屁一郎!」と「へえ…」のくだりは、カチッ!となっている光秀以外、皆が思わず笑っていた場面も印象的)、知恵比べありetc。
今までの大河とは違い、柔らかく知的な義昭もいい感じですし、いかつい武将や百戦錬磨の堺の商人たちの中で、一服の清涼剤みたいに美しき竹中半兵衛(菅田将暉)もよき。
来週は、「稀代の悪女」茶々が爆誕する様子。のちに秀吉の運命を動かす茶々を藤吉郎が抱いている姿を見ると複雑です。
そして小一郎の正室となる慶(ちか/吉岡里帆)も登場するよう。まだまだ先にして欲しいと思いつつ。
【豊臣兄弟!】直亡き後、小一郎は誰と結ばれた?妻となる慶(吉岡里帆)と側室・光秀尼の生涯
平和で幸せそうな場面も、その後の悲劇の前フリになっているのが大河ドラマのしんどいところ。
今回のラストシーン。「殿がお呼びです」と侍女に声をかけられたお市は、机の上に置いた長政のお土産の鏡に顔を写し、微笑んで大切そうにそ〜っと元に戻します。
初めて恋する女性の表情になったお市。どうが、このままであって欲しいと思ってしまうのでした。
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