『豊臣兄弟!』男の一生を貫いた武将・前野長康の「辞世の句」秀吉に媚びず自害を選んだ覚悟の結末:3ページ目
戦国の世にあって「男の一生」を貫き通す
前野長康は、播磨国11万石の大名である。だがその出世に溺れることなく、秀吉という権力にも媚びなかった。
それが、彼の一生を貫いた矜持である。理不尽の只中にあっても、声高に反逆せず、迎合もせず、最後は己の命で筋を通したのだ。
長康の辞世を改めて紹介しよう。
「限りある 身にぞあづさの 弓はりて とどけ参らす 前の山々」
現代語に訳すと、「人の命は限りあるものだ。この限りある我が身ではあるが、武士としての最後の意地にかけて梓弓を力の限り引き絞って、目の前にある山々(これから自分が赴く浄土の山々・我が前野一族が待つであろう場所)に向かって、届け申し上げようではないか」というような意味だろう。
この辞世に、秀吉への露骨な抗議は感じられない。だが、もはや届かぬ諫言を胸に抱いたまま、静かに身を引く決意の矢であったのかもしれない。
長康と盟友の蜂須賀正勝を比べる時、長康の不運を強調する人々は多い。
しかし、前野将右衛門長康、彼こそは戦国の世にあって、まさに「男の一生」を貫き通した武将であったといえよう。
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