【豊臣兄弟!】大嫌いになり申した!小一郎が信長に示した信じる力、豊臣にあり織田になかった“兄弟の絆”:2ページ目
『人を信じる力』がテーマに流れるドラマ
『豊臣兄弟!』の制作統括を務める松川博敬チーフ・プロデューサーによると、“この作品は『人を信じる力』の物語なのではないか”と感じるようになったそうです。
過酷な状況の戦国時代、身近な人間を「信じなければ」生きていけない。けれども、信じることで裏切られたり命を取られたりすることもある。それでも信じないと前に進めない……その『人を信じる力』の強さがこのドラマの根底に流れているそうです。
今回の第6話『兄弟の絆』は、「この回を見て欲しくてこのドラマを作った」というほど。
信じ合う気持ちが強かった豊臣兄弟、信じ合うことができなかった織田兄弟が対照的に描かれていました。
この『人を信じる力』の差が、この天下を分けることになった……そんな意味も含まれていたように思います。
破格な藤吉郎の『人を信じる力』の強さ
藤吉郎の『人を信じる力』は、第4回『桶狭間!』から始まっていました。
「親方様は必ず勝つと信じている」と言い切った藤吉郎。そんな兄を「信じる」と決めた小一郎。桶狭間の戦いで勝利を納めたことで、『兄弟の絆』は強くなりました。
第5回『嘘から出た実』では、藤吉郎は松平元康(家康:松下洸平)に、「出世の秘訣」を聞きます。
元康は「信長殿を信じろ。己を信じて進め。大事なのはここじゃ(と胸を叩きつつ)!熱意は人を動かす。」と答えました。
実は、その後「すべて逆のことを言うてやったわ!わはははは」と大笑いしていましたが。
つまり、元康は「信長のことなど信じない」「己を信じて進むことなど無理」「気持ちや熱意で人は動かせるもんか」と思っているのでしょう。
けれど、その“嘘”を額面通り吸収した藤吉郎(つまり元康のことも信じた)は、『人を信じる力』をより強固にしました。
戦国時代では、“疑うこと”ことは生き残っていくためには必須です。“信じる”ことは、相手に隙を見せることになってしまいます。人がいい悪いとかの問題ではなく当たり前の生存戦略でした。
けれども、藤吉郎はもって生まれた性分もあるのでしょう。元康の言葉をそのまま信じ、自分の“真理”として昇華しました。
自分が仕える主君を信じる、そんな己も信じる、そんな熱意が人を動かす。
ここに、豊臣兄弟の強さの原点が生まれたのです。
母なかは藤吉郎の『人を信じる力』を信じていた?
今回驚いたのは、藤吉郎が「信長の罠」を前田利家(大東駿介)から事前に聞かされていたこと。「信長は、次郎左衛門に無実の罪を着せて殺すつもりだ」と。
けれど、藤吉郎は「殿は、調略に応じれば大沢様の城と領地は安堵すると申した。わしはその言葉を信じるだけだ」と笑顔で言ってのけました。
いざという時の他のプランも用意せず、ただひたすらに信長を信じ切る姿は印象的でした。
あの人たらしな藤吉郎の『人を信じる力』の強さは、いったいどこから来ているのでしょうか。
母親のなか(坂井真紀)が、藤吉郎を心配して落ち込む寧々(浜辺美波)に、「あの子は不死身だから」と笑顔とともに言います。
この言葉の中に真理があるのかもしれません。おっかさんだけは、のちの太陽のように輝く秀吉の姿が見えていて「だから大丈夫」と言っているような、不思議な感じがしました。
史実では、寧々はなかのことを非常に大切にしたと伝わります。もしかしたら、こんなふうに、なかがいつも「大丈夫よ!」と包んでくれる人柄だったから、慕っていたのかもしれません。
3ページ目 小一郎「あなた様のことが、大嫌いになり申した!」
