『べらぼう』招かれざる客は”蔦重の子供”…唯一無二の存在ではなくなった歌麿の決別【後編】
大河べらぼう第42回『招かれざる客』。
強固な大ヒット作品が欲しい蔦重(横浜流星)は大量発注を引き受け、断る歌麿(染谷将太)に「弟子に描かせ、お前がサインをすればいい」……と、クリエーターに無神経な提案をしてしまいます。
“大切に作品を描きのちに残したい”歌麿にとって、蔦重の絵の大量発注はまさに「招かれざる客」でした。
※【前編】の記事はこちら↓
『べらぼう』二人の固い絆が切れた──歌麿にとっての”招かれざる客”は愛する蔦重だった…【前編】
「それ 借金のかたに俺を売ったってこと?」身勝手な仕事の進め方をする蔦重(横浜流星)に、忸怩たる思いを抱いていた歌麿(染谷将太)が思わず放った言葉。デリカシーのない蔦重に対し、「それを…
【後編】では、蔦重にとっての「招かれざる客」となった、西村屋(西村まさ彦)と二代目・万次郎(中村莟玉)。
さらに、歌麿との絆を壊した蔦重の“お願い”、別離の決定的な原因となったもうひとりの「招かれざる客」を振り返ります。
「一点一点を心を込めて大切に描きたかった」歌麿
歌麿の美人大首絵が売れ、商人から「うちの看板娘の絵を描いてくれ」と大量発注を受けた蔦重。「弟子に描かせサインだけすればいい」というデリカシーのない蔦重に対し、歌麿は、“一点一点を心を込めて大切に描きたいのに”と、クリエイティブの方向性の違いに悩みます。
蔦重は、前回、母・つよ(高岡早紀)に、「人のことをもっと大切にしなさい」という忠告をされたばかりですが、「歌麿のことを指している」とは気が付いていません。
歌麿は、以前、蔦重に「金繰りに行き詰まっている店を救いたいだけでしょ」と冷たく言い放ったこともあります。
仲直りはしたものの、その思いはどこかずっと心の中に秘めていたのでしょう。蔦重に対して「いい作品を作るという思いよりも、金儲けのことしか考えてない」という不満が再燃してしまったのでしょうか。


