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『べらぼう』二人の固い絆が切れた──歌麿にとっての”招かれざる客”は愛する蔦重だった…【前編】

『べらぼう』二人の固い絆が切れた──歌麿にとっての”招かれざる客”は愛する蔦重だった…【前編】

「それ 借金のかたに俺を売ったってこと?」

身勝手な仕事の進め方をする蔦重(横浜流星)に、忸怩たる思いを抱いていた歌麿(染谷将太)が思わず放った言葉。

デリカシーのない蔦重に対し、「それを歌麿に頼んではいけないよ!」と心の中で突っ込んだ人も多かったのでは。

大河べらぼう第42回の副題は『招かれざる客』。1年間、視聴者を感動させたり、逆にハラハラさせたりしてきたこのドラマも、終わりが近づき、徐々に不穏な空気が漂ってきました。

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つよ(高岡早紀)がさらっと亡くなり、またしても心のよりどころを喪った歌麿(染谷将太)。蔦重(横浜流星)から無理難題をせがまれ続けた挙げ句、おていさん(橋本愛)に子供が出来たと聞かされ、ついに心が折れて…

今回のドラマのテーマは、さまざまな「招かれざる客」。人の運命を大きく変えていく「客」とは……厳しい展開となってきた第42回を振り返りながら考察してみました。

誰にとって、誰が「招かれざる客」なのか

『招かれざる客』とは、不穏で意味深なタイトルでしたね。いったい、「誰にとって、誰が招かれざる客」なのか。

たとえば……

松平定信(井上裕貴)にとっては、「オロシャの船」。

蔦重にとっては、歌麿の心情を惑わせる、西村屋(西村まさ彦)と二代目で鱗形屋(片岡愛之助)の次男・万次郎(中村莟玉)。

耕書堂にとっては、「歌麿の美人大首絵に観相学用語を入れるな!」と、クレームを付けに来た観相家(田中裕二)。さらに、絵が爆売れした影響で物価があがり「ふたたび“田沼病(贅沢をする)の再現か」と懸念する松平定信(井上祐貴)による「絵に娘の名前を入れるのは禁止」令。

このように、歌麿にとっての「招かれざる客」は“二人”でした。

歌麿の美人画が爆売れしたおかげで、「これは商機!」と大量に看板娘のいる商人から注文を受けて、「これ全部描いてくれ」と発注を押し付ける蔦重。大量生産の無理筋な仕事は、「招かれざる客」でしかありません。

さらに加えるなら、歌麿にとっては、蔦重とてい(橋本愛)との間に授かった赤ん坊も「招かれざる客」でした。

2ページ目 歌麿にとって運命を変えた「招かれざる客」

 

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