『べらぼう』子供は無事生まれる?歌麿の葛藤と決断…史実を元に11月2日放送内容の深堀り解説
つよ(高岡早紀)がさらっと亡くなり、またしても心のよりどころを喪った歌麿(染谷将太)。蔦重(横浜流星)から無理難題をせがまれ続けた挙げ句、おていさん(橋本愛)に子供が出来たと聞かされ、ついに心が折れてしまいました。
「今度の揃い絵を仕上げたら、蔦重とは終わりにします」
西村屋の万次郎(中村莟玉)の離間が奏功し、今後こそ二人は訣別、蔦重は歌麿に捨てられてしまうのでしょうか。
いっぽうお城ではロシア対策や朝廷対策で強硬姿勢を崩さない松平定信(井上祐貴)。独裁色を強め、声を荒げ続けているうち、これまで諫言してきた者たちが態度を一変。平伏して「正しき世をお助けしたい」と申し出ました。
強張っていた顔が徐々にほころぶ定信。しかしこの不自然な展開には、一橋治済(生田斗真)の策謀を感じずにはいられません。
第42回放送「招かれざる客」今週も気になるトピックを振り返っていきましょう!
歌麿の葛藤と決断
美人大首絵のヒットによって身上半減から店を建て直し、江戸の景気回復を推進してきた蔦重。しかしそれは歌麿の過重な負担によって支えられており、既に限界が迫っていました。
一点ごとに心を込めて絵を描きたい歌麿に対して、弟子たちに描かせて仕上げに手直しすれば立派な歌麿作だと主張する蔦重。アーティストの芸術性とプロデューサーの経営事情が対立してしまうことは少なくありません。
歌麿にとっては苦労して生みだした我が子にも等しい絵が、蔦重にしてみれば単なる商いの品、金儲けの手段に過ぎないのか……葛藤する歌麿の元へ「招かれざる客」西村屋父子が訪れます。
万次郎は「一緒にやってみたい仕事がたくさんあります」と面白い企画(当世美男揃や白黒錦絵など)を持ちかける一方、「先生の画号が蔦屋の屋号より下とは、いくら何でも軽く見過ぎでは」と不満を煽り立てました。
その場こそ「俺は蔦重の抱えだから」と断ったものの、蔦重が借金のカタに自分を売った(吉原への借金返済に絵の提供を約束してしまった)&おていさんが妊娠したと聞かされ、ついに蔦重との決別を口にします。
せめて蔦重がその場で決めず、「歌と相談させてください」と持ち帰っていれば、そして「ガキが出来たんだ」などと言わなければ……少しだけ違った結果になっていたかも知れませんね。
いや、ダメだったと思います。そりゃだって、実質「必要なのはお前の絵じゃなくて、お前のブランドだ」と言ってしまったのだから。
前に栃木から連れ帰る時に「いっちゃんお前の絵が好きだ」なんて口説いたくせに、舌の根も乾かぬうちに「弟子の絵でいい≒お前の絵など取り換えが利く」などと言われてしまえば、歌麿だって百年の恋も冷めようというもの。
つよが生前「このままだと、本当に歌から捨てられちまうよ!」と蔦重に発していた警告の意味を、次週に痛感することとなるのでしょう。
