手洗いをしっかりしよう!Japaaan

『べらぼう』蔦重と歌麿。二人の“息子”を大きな愛情で包んで抱きしめる、無敵の「おっかさん」【後編】

『べらぼう』蔦重と歌麿。二人の“息子”を大きな愛情で包んで抱きしめる、無敵の「おっかさん」【後編】:3ページ目

自分を「捨てた」理由を初めて聞き心が救われた蔦重

一方、蔦重は尾張の書物問屋・永楽屋に営業をかけに出かけることに。

旅立つ間際に「髪を結い直したほうがいい」と、つよは初めて蔦重の髪を結います。そして、なぜ子供時代に蔦重を手放したのか……を語りました。

実は、父親も母親のつよも、父親が多額の借金を作ってしまい江戸から逃げるとき、借金取りが蔦重の元までこないように駿河屋市右衛門(高橋克実 )に預けたこと、そして父親も母親も色狂いをして子を捨てたということにした事実を聞きます。

「俺が考えてたより、よほどいい話だ」という蔦重。

つよは、江戸が米不足のとき耕書堂に突然、店に転がりこんできました。蔦重は「どの面下げて来たんだ!」と追い出そうとしましたが、てい(橋本愛)がとりなし店で暮らすことになりました。さすが血が繋がっているだけあり、人たらしの才能があり髪結という技術もいかしつつ、いつのまにかなくてはならない存在に。こんな優しそうな母親が「どうして蔦重を捨てたんだろう」と不思議でしたね。

「柯理(からまる)」と幼少期の名前で呼びかける、つよ。

あんたは強い子だよ。あんたは立派だよ…

裏を返しゃ、あんたは強くならなきゃ生きてけなかったんだ…
それでここまでやってきて、そりゃもうあんたは立派だよ…

でもね、たいていの人はそんなに強くなれなくて、強がるんだ。
口では平気といっても、実のところは平気じゃなくてね。そこんとこ、もうちょっと気付けて、ありがたく思えるようになったら、もう一段、男っぷりも上がるってもんさ

これは、非常にいいセリフでした。最後は歌麿のことを指しているのでしょう。歌麿のことも気遣ってやれ、そばにいてくれることをありがたく思い大切にしてあげなという意味も。

歌麿という息子、柯理こと重三郎という息子、二人の息子を思ったおっかさんにしか言えない、愛情のこもったセリフでした。

4ページ目 初めて蔦重が口に出した「おっかさん」という言葉

 

RELATED 関連する記事