【べらぼう】奇抜すぎて絶版処分!山東京伝の浦島太郎スピンオフ作品『箱入娘面屋人魚』の内容とは?
♪むかし、むかし、浦島は〜♪
亀を助けた恩返しで、竜宮城に招待された浦島太郎(うらしまたろう)の物語は、誰もが知っているかと思います。
今回は山東京伝(さんとう きょうでん)が手がけた浦島太郎のスピンオフ作品を紹介。
名づけて『箱入娘面屋人魚(はこいりむすめ めんやにんぎょう)』一体どんな物語なのでしょうか?
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ゲス過ぎる浦島太郎
江戸の中洲新地(私娼窟や吉原遊郭の仮宅が営業していた)が海に沈み、竜王(竜宮城の主)の治めるところとなりました。
中洲に住んでいた色男の浦島太郎は、竜王の娘・乙姫(おとひめ)の婿(愛人)となっていましたが、鯉の遊女と浮気をしてしまいます。
鯉の遊女は妊娠して娘を生みますが、頭は人間、首から下は魚という文字通りの人面魚でした。
これはいい見世物になるぞ……と思いましたが、あまり派手に稼ぐと乙姫に浮気がバレてしまいます。
しょうがないので、浦島太郎はこの人面魚娘を海に放流しました。
※以下、ここでは仮に魚子(ととこ)とでも呼ぶことにしましょう。
人面魚と漁師の結婚生活
可哀想な魚子……海の中で月日は流れ、漁師の網に引っかかりました。
魚子を引き上げたのは、冴えない漁師の平次(へいじ)。魚子の姿に驚きます。
「どうかあなたの妻にしてください」
はじめ断ろうと思ったものの、よく見ればなかなかの美人。今後こんな美女が言い寄ってくることもなかろうし……。
首から下は気にしないことにして、平次は魚子を妻に迎えたのでした。
すると近所で「平次が家に迎えた人面魚を拝むと疫病神除けになる」という噂が立ちます。
そこで多くの人が魚子を一目拝もうと、平次の家に押しかけました。
夫婦のプライバシーも何もありませんが、よもや人面魚を妻にしたとも言えず、黙って野次馬を追い払うばかりです。


