大河『べらぼう』二度目の「おさらばえ」…瀬川(小芝風花)と鳥山検校(市原隼人)惚れた相手のため身を引く二人の愛【前編】:3ページ目
瀬川の身請け事件を元に書かれた人情本『契情買虎之巻』
あらすじは……
美貌と人柄で広く名を馳せた吉原・松葉屋の花魁・瀬川がかつての亡夫に瓜二つの客の五郷(ごごう)と出会い惚れてしまう。
二人は密かに将来を誓い合うが、巨額の財力を誇る鳥山検校が瀬川を高額な身請金で強引に落籍。悲嘆にくれた瀬川は命を落とす。果たして残された五郷と幼子の行く末は……
というような内容です。
身請けから3年経っても話題になるほど、瀬川と検校のエピソードは江戸っ子の間では強烈なインパクトのある話題だったのでしょう。
蔦重は瀬川にこの本を渡し「自分が本屋を営むことになったら一緒にやってほしい」とプロポーズするのでした。他人にあれこれと瀬川を描かせるのではなく「瀬川による瀬川の本」を出したら売れるのでは?と「夢」を語り合う二人。
本に精通している二人だけに「他の有名本をパクったあらすじネタ」がポンポンでてきます。
笑いながら話す姿は、微笑ましく幸せな場面ではありましたが、その二人をじっと見詰める遊女・松崎(新井美羽)が不穏な気配を漂わせていました。
彼女は、旗本の娘ながらも破産し、松葉屋に売られてきた武家の娘・さえで、座頭金(盲人が幕府の監督をうけて貸し付けた庶民金融)に激しい恨みを持っていたのでした。
