「なんで日本語ってはっきりしないの?」その理由を日本文化から考えると、日本語がもっと好きになる!:2ページ目
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また、日本語には語順が自由に変えられるという特徴もあります。
たとえば、「わたしがごはんを作る」「ごはんをわたしが作る」など、順番を変えてもだいたい意味が通じます。でもそのぶん、「どこが大事なのか」がわかりにくくなることもあるでしょう。
さらに、日本語には同じ音でも意味がちがう言葉がたくさんあります。
「かみ」という音だけでも、「神(かみ)」「紙(かみ)」「髪(かみ)」と、まったくちがう意味を持っています。このため、日本語では「音」だけでなく、「文の流れ」や「場面のようす」などもいっしょに考えて、全体から意味を読みとる力が必要になります。
ここまで聞くと、日本語って「なんてまわりくどいんだろう」と思うかもしれません。でもそれは、相手の気持ちをくみとり、ぶつかりあわずに調和を大切にする文化があるからこそ、生まれた話し方なのです。
だからこそ、日本語には、はっきり言わないことや、あいまいにしておくことが、やさしさや思いやりの形として大切にされてきたのです。
それは、相手の気持ちをよく考え、おたがいの関係を大事にするという、日本人ならではの感覚から生まれたものです。
日本語の“わかりにくさ”の中には、人と人とが気持ちよくつながるための知恵がつまっています。
もしこれから先、「どうして日本語ってこんなに遠まわしなんだろう?」と思うことがあったら、それはただの“めんどうくささ”ではなく、言葉の外にあるものまで大切にする文化なのだと、少しだけ思い出してみてください。そうすればきっと、これまでよりも日本語を少し好きになれるはずです。
参考文献
- 鄭 恵卿 『現代日本語の敬語における丁寧さの研究』1991
- 成山 重子『』()
- 魏春娥 「日本人と外国人日本語学習者の敬語使用に関する考察: アンケート調査結果の分析を中心に」(2013 『山口大學文學會志』63)
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