
大河『べらぼう』鳥山検校と五代目瀬川(小芝風花)の悲惨なその後…咲くも散りゆく4本の徒花【後編】:3ページ目
舞を通して愛しい人を想う。ひと夜の夢の徒花
そして、4本目として取り上げたいのは、たった一晩だけ瀬川と平賀源内の間に咲いた徒花です。
第二話で、男色家の平賀源内を、花の井花魁が女形役者の扮装をして舞うというもてなしをしました。
彼女の舞姿に、源内が恋人だった女形役者・二代目瀬川菊之丞(三代目・花柳寿楽)の生前の姿を思い出し、涙を浮かべる場面は評判になりました。
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蔦重が、平賀源内に自分がたずさわる『吉原細見』の序文を書いて欲しくて、接待のために松葉屋に源内を招いた時のことでした。
源内が松葉屋の女将に「『瀬川』はいないのかい」と尋ね「もういない」と断られる姿を見て、花の井は「源内が会いたいのは瀬川花魁ではなく、この世を去った源内の恋人で女形役者・瀬川菊之丞のこと」と察します。
そこで、瀬川菊之丞に扮して源内の座敷に突然乱入する花の井。
「今宵一晩は自分のことを瀬川菊之丞と思ってくれ」といいます。「引け四つ(※)までのたかが戯れ。咎める者もおりますまい」という花の井。
※新吉原で、遊女が張り見世から引き揚げる時刻
そんな花の井の粋なはからいに、源内は舞を所望します。男色家の源内は、女性の花の井を抱くことはありません。花魁の美しい舞を眺めながら、ありし日の恋人瀬川菊之丞(三代目・花柳寿楽)の舞いの稽古姿を思い出し涙ぐむ源内。舞を通じて、過去と現在がシンクロする美しく切なくシーンでした。