江戸っ子に人気の「大根神社」?!江戸時代の痕跡を探しに東京・浅草を歩く
江戸といえば浅草、浅草と言えば浅草寺ですが、その近くに江戸っ子に人気だった隠れた名所「待乳山本龍院[まつちやまほんりゅういん](待乳山聖天)」を知っていますか?
大根と巾着の意匠が有名な寺で、歌舞伎役者もこぞって参詣したといいます。
一見すると神社に見えますが、実は浅草寺の支院で正しくは「待乳山本龍院」といいます。
縁起
その創建は縁起によれば、推古天皇九年(601)夏、旱魃(かんばつ)のために人々が苦しみ喘いでいたときに、十一面観音が大聖尊歓喜天に化身してこの地に姿を現し、人々を救ったため、「聖天さま」として祀ったといわれる。
で「聖天」とは何かと言いますと、「十一面観音菩薩を本地仏とし、仏法を守護し仏道を行ずる人々を守護する天部の一人」です。
本地仏とは、神仏習合思想の一つで、神道の神々は実は様々な仏となって日本の地に現れた(権現ごんげん)とする考えです。
天部というのは本当は位が低いのだけれども、観音菩薩の化身でもあるために、立派な「聖」の字をつけたわけですね。

大根は「心身丈夫、良縁成就、夫婦和合」を表し、巾着は「商売繁盛、聖天信仰」の象徴とのこと。
大根がそれだけ江戸ではポピュラーだったという証拠でしょうね。筆者が訪れた時も拝殿には大根がうず高く積み上げられてました。ちなみに大根は江戸には欠かせない食材で、江戸で使用頻度の高い野菜は「大根、ごぼう、なす、ねぎ」でしたが、江戸時代の料理本「料理物語」での登場頻度はなんと22%!
宴会や会席でも、なますやふろふき大根、香の物と大活躍。大根モチーフのせいでしょう、神社には庶民的な雰囲気が漂います。
2ページ目 山谷堀と今戸橋
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