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実は女性の地位が高かった鎌倉時代!当初は珍しくなかった「女性の地頭」が消えていった理由とは?

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2024/10/25

分割相続の弊害

地頭職に就いた場合、その人はもちろん御家人として認知されることになります。しかし女性が御家人として地頭職についた場合、問題となるのは幕府への武力奉公でした。

いわゆる「いざ鎌倉」「御恩と奉公」で、幕府からの命令があれば、御家人はたとえ女性であっても武力奉公を断ることができませんでした。

しかし、女性が自ら武器をとって軍役に就くのは無理があります。そこで、婿や子供が代理を務めることが多かったのです。

このあたりは決して女性差別というわけではなく、身体能力などに応じた家庭などでの役割分担がしっかりしていたということでしょう。また、当の女性たちも、軍役に就くことを望んでいなかったのかも知れません。

その後、鎌倉中期になると分割相続の弊害が明瞭になってきます。

当たり前の話ですが、子供たちに領地を分割相続していけば、次第に一人当たりの所領が少なくなりますね。そんなこともあって、次第に女性へは所領を譲らないケースが増えていきました。

そして、南北朝時代にはルールそのものが変わって嫡子単独相続が始まり、女性はほとんど相続することができなくなります。こうして武家の所領相続は男子中心となり、これとあわせて女性地頭は姿を消していきました。

参考資料:歴史の謎研究会『舞台裏から歴史を読む雑学で日本全史』2022年、株式会社青春出版社
画像:Wikipedia

 

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