修行僧も江戸の旅人も食べていた!知られざるいにしえのファストフード「奈良茶飯」:2ページ目
全国に広まって逆輸入
この料理の由来の面白いところは、奈良で生まれた「奈良」茶飯であるにも関わらず、最初は奈良では広まらなかったという点です。
奈良茶飯が有名になったのは江戸時代のことでした。これを気に入った旅人が、浅草で茶飯のお店を出したところ大繁盛。江戸市中に奈良茶飯を提供するお店が多く並んだのです。
手軽に食べられるというのも利点で、いわば江戸時代のファストフードの一種として広まったと言えるでしょう。
ちなみにこうした茶飯店はかの『東海道中膝栗毛』でも紹介されました。こうしたことがあって、奈良茶飯は全国へ広まります。そして当の奈良では、明治時代になってから注目されるようになりました。
いわば、奈良茶飯は奈良生まれであると同時に、奈良に逆輸入された郷土料理なのです。