修行僧も江戸の旅人も食べていた!知られざるいにしえのファストフード「奈良茶飯」:3ページ目
味と栄養面の魅力は?
さて、そんな奈良茶飯にはどのような魅力があるのでしょうか。まず味の特徴は、リラックス効果があるほうじ茶のかすかな香りと大豆のほんのりした甘みにあります。
さらに栄養面で言えば、ほうじ茶にはカテキンやビタミン類が豊富に含まれています(焙煎の段階で減少しますが)。
また大豆はタンパク質のほか、カルシウム・亜鉛・鉄・マグネシウムに食物繊維、ビタミンB群、ミネラルが豊富。さらにサポニンやイソフラボンには、活性酸素を抑制する働きがあるのでアンチエイジングにも効果的と言えるでしょう。
ちなみに作る時のポイントは、ほうじ茶をおいしく淹れることです。大きめの急須に、沸騰したお湯を一気に注ぐのが理想的。浸出は30秒ほどにしておきましょう。
さらに、ちょっとだけ美味しさにアクセントをつける方法として、うるち米にもち米を少し足したものを使うというやり方もあります。こうするとご飯のモチモチした歯ごたえが楽しめるでしょう。
炊き上がった奈良茶飯に、緑茶の粉末を振りかけるのもいいでしょう。こうすると清涼感のあるお茶の香りまで楽しめてとても贅沢な仕上がりになります。
ほうじ茶ではなく、緑茶で炊いてもいいのではないか? と考える人もいるかも知れません。確かに、緑茶で炊いた方が栄養面では優れています。しかし、緑茶を使うと、どうしてもほうじ茶よりも苦くなってしまうのが難しいところ。
古代の修行僧が食べていた、長寿の秘訣まで満載の精進料理「奈良茶飯」。皆さんもぜひ一度味わってみて下さい。
参考資料:
農林水産省「うちの郷土料理」