「鎌倉殿の13人」実朝が死に、義時がついに頼朝を超える?第45回放送「八幡宮の石段」振り返り:2ページ目
義時と“のえ”
「言っていいことと、悪いことがあります!今のはどっちでしょうか!」
権力欲を追求する野望のため、義時に近づいた後室“のえ”(演:菊池凛子。伊賀の方)。それを百も承知で手元に置いている義時ですが、仲章に篭絡されかけていた彼女に、心無い言葉を投げかけます。
「八重(演:新垣結衣)も比奈(演:堀田真由。姫の前)も、もう少し出来た女子(おなご)であった……」
現在の妻を、過去の妻たちと比較する義時。夫婦として、最も慎むべき行為と言えるでしょう。現代ならモラハラ認定待ったなしです。
ところで以前、姑の“りく”(演:宮沢りえ。牧の方)から「無理に溶け込もうとしないこと」と教訓を授かっていた“のえ”ですが、さすがに結婚してから十数年(※)が経っています。
(※)嫡男・北条政村(演:(新原泰佑)が生まれたのは元久2年(1205年)6月22日。逆算して、元久元年(1204年)以前に関係を持ったとするのが自然です。
かつての“りく”みたいにお高くとまり続けたならともかく、前回の仏像面白ポーズ大会でも「次、私!」と挙手するなど、彼女なりに打ち解けようとする努力は十分に見られます。
しかしその声は無視され、身内(と認定された者)だけで盛り上がっている様子は、何だか北条ファミリーの冷たさが感じられました。中は温かいのかも知れませんが、外から入るには高い障壁が設けられているようです。
たとえ表向きにせよ、頑張って十数年も演じ続けられたなら、それはもう立派な妻と言えるのではないでしょうか。
じゃあ何かい。八重さんや比奈さんは、生まれついた瞬間から出来た女子だったのかい。そもそも小四郎アンタはそんなに出来た夫なのかい。
……などと口走らなかったのは、とても偉い対応です。こうして義時はいらん一言で孤独を深め、毒殺フラグ(藤原定家『明月記』より)を立てたのでした。
(ただし、仮にそうでも直接そのようには描かず、あくまでも匂わせる描写で視聴者に想像させる演出を用いるでしょう)