「鎌倉殿の13人」鬱回ふたたび…大姫そして蒲殿まで。第24回放送「変わらぬ人」振り返り:3ページ目
比企尼のこと
頼朝の流人時代から30年以上にわたって無償の愛を注ぎ続けた、頼朝ラブ勢筆頭の比企尼(演:草笛光子)。婿であった安達盛長(演:野添義弘)が、範頼の助命嘆願に連れてきたのでした。
昔は優しい子だったのに……大切に髻(もとどり)へ結い込んだ仏像を棄てたと聞いて、頼朝を平手打ち。ずっと頼朝を愛し続けてきたのに……これほど辛いシーンも、なかなかありません。
『吾妻鏡』では石橋山の合戦に敗れた際、死を覚悟したため潜伏していた洞窟(鵐の窟)に安置しています。
変わらなければならない、強くなければならない。そう虚勢を張り続けた頼朝の少年時代から変わらない本質が、とても悲しく映りました。
ちなみに『吉見系図』では範頼が謀叛の疑いで誅殺された時、範頼の遺児2名について出家を条件に助命しています。
岡崎義実のこと
曽我兄弟による襲撃事件への関与を疑われたものの、これまでの功績によって出家で済んだ岡崎義実(演:たかお鷹)。
「お前が来たってことは、俺はここで斬られるのか」
「……命をとるつもりなら、出家はさせぬ」
衆人環視の中で上総介広常(演:佐藤浩市)を斬って以来、まるで死神扱いの梶原景時(演:中村獅童)。
当時は罪業を重ねた者も出家すれば赦され、極楽往生ができるとされました。なので死期が近づくと出家をする者が多く、かの頼朝も亡くなる直前に出家しています。
かつて頼朝の挙兵に真っ先駆けて馳せ参じた功績によって出家「させてもらえた」義実。しかし寂しくつぶやく姿に、挙兵当時の喜びは感じられません。
「……そのようなこともあったな」
ちなみに『吾妻鏡』では、義実と同じ日に挙兵以来の古参・大庭景義(おおば かげよし。大庭景親の兄)も出家しました。理由は「老齢で、かねて念願であったため」とありますが、共に謀叛を企んでいたとの説もあります。