「鎌倉殿の13人」八重ロス続出でも落ち込んでる暇なし!続々と歪んでいく勝者たち…第21回「仏の眼差し」振り返り:5ページ目
オカルトにはまる大姫。葵と名乗った理由は?
許婚・源義高(演:市川染五郎)を喪った心の傷が癒えないため、近ごろはオカルト方面に現実逃避をはじめた大姫(演:南沙良)。
いきなり葵(あおい)と名乗り出したり、妙な呪文やまじないに凝り出したりと周囲を驚かせていました。
十代の子供に(特に心的外傷を負っていればなお)ありがちながら、ちょっと薄気味悪い印象を残しています。
劇中では『源氏物語』のヒロイン・葵の上(あおいのうえ)からとったものと考えられ、彼女は生霊に憑り殺された光源氏(ひかるげんじ)の正室。
生霊に憑り殺されるヒロインは他にも夕顔がいるものの、葵の上を選んだのは「最初の妻を喪う」義時を暗示したのかも知れません。
また少しメタですが葵は徳川の家紋であり、来年大河ドラマの「どうする家康」を暗示、『源氏物語』に言及したのは再来年大河ドラマの「光る君へ」を暗示した可能性も考えられます。
ちなみに、焼いた鰯の頭が魔除けになると言うのは節分によくやる「焼嗅(やいかがし)」でしょう。女性陣は一様に眉を顰めますが、都育ちのりくはもちろんとして、身重そうな女性は大きく袖を上げるなどしていました。
そう言えば、八重も手伝う時にはっきり顔をしかめていました。もしかして第二子を妊娠していたのかも知れません(悪阻があると食べ物系の匂いに敏感になるとか)。
政子が「あなた、最近変わった?幸せそう」などと言っていたのは、義時や子供たちとの幸せな生活はもちろん、妊娠していたから……だとすれば、死の悲劇がよりいっそう引き立つことでしょう。
まだ覚悟が足りない義時と、まだヘイトを集め足りない?頼朝
さて、幸せに暮らす八重と義時ですが、頼朝はこれでもかとばかりヘイトを集めるべく意地悪(元彼マウント)に余念がありません。
「昔、待ち合わせをした桜の木が切り倒されていた」
(そりゃ、アンタとの交際が黒歴史だからだよ!)
「伊東屋敷の裏にある地蔵が二体に増えておった」
(それは殺された千鶴丸を供養するためのだよ!)
「今度、伊豆山権現に……」
(そこには千鶴丸の墓がありますよね?)
八重の「もうほんといい加減にしてくれ」と言わんばかりの苦笑いが、胃に悪いですね。いい加減にしなさい、とばかり政子(演:小池栄子)がピシャリと制します。
「知ってて言っているなら人が悪いし、知らないで言っているなら気遣いがなさすぎます。どっちにしても私は不愉快です」
これには喝采を送った視聴者も多かったのではないでしょうか。確かに頼朝の発言は、聞いていられたものではありません。
他にも「金剛は小四郎よりもわしに似ている」とか何とか……どこまでもヘイトを集め続ける頼朝に、さすがの義時もうんざりした様子。
「言われるままに非道なことをしている自分が情けない」
頼朝の無神経な発言にうんざりする点は共感するとしても、この発言は頂けません。だって非道と承知で従うと決めたのは、他ならぬ義時自身なのですから。
どうしても許せないなら出家遁世するなり謀叛を起こすなり、そこまでいかずとも諫言した上で命令を拒否するなど、とれる態度はいくらでもあるはず。
「そんな事を言ったって、自分には守るべき家族も一族も所領もあるんだ!」
もちろんそれは否定しませんが、だったら文句を言うのは筋違い。自分だけいい子でいようったってそうは問屋が卸しません。
義村の「お前は頼朝に似てきているぜ」ではありませんが、頼朝の手先となって非道なことをしている義時は頼朝の共犯。八重や金剛や一族や所領を守るため、鬼にも悪にもなるべきではないでしょうか。
まぁ、義時がそこまで開き直るまでにはまだまだ時間がかかりそうです。