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お稲荷さんの正体は狐じゃなく人喰い鬼!?稲荷神社にまつわる深い闇

お稲荷さんの正体は狐じゃなく人喰い鬼!?稲荷神社にまつわる深い闇

大日如来に出会い、会心した荼枳尼天

人喰い鬼である荼枳尼天のターニングポイントは、大日如来との出会いで訪れます。大日如来は、密教における万物の母です。


そんな大日如来は荼枳尼天に、人喰いを改めるよう申し渡しました。そして大日如来は荼枳尼天に、人間に死が訪れる半年前に、その者の死期を予知する能力を与えます。

大日如来の導きで生きた肉を喰らう鬼から脱した荼枳尼天は、仏道に帰依して改心。人命を奪う鬼神を改めて五穀豊穣の神になり、寺に祀られるお稲荷さんとなりました。

消えることない荼枳尼天の過去

しかし荼枳尼天の恐るべき過去を、人々が簡単に忘れることはありませんでした。

「今は穏やかそうに見えても、その本性は人喰い鬼だ。」
「どうせ意にそぐわないことがあれば激昂し、人間を取り殺すことだろう。」

こうして

  • お稲荷さんを気軽に拝むと祟られる
  • 稲荷信仰を止めると災いが降りかかる

こういった誤解が流布したと言われています。

ただ巻き込まれただけの、もう一つのお稲荷さん

荼枳尼天を祀る寺のお稲荷さんは、荼枳尼天の過去の過ちから、祟り神と誤解されてしまいました。そしてその火の粉はなんと、荼枳尼天とは何ら関係のない、神社系のお稲荷さんにまで飛び火したのです。

京都の伏見稲荷大社を総本社とする神社系のお稲荷さんは、宇迦之御魂神(ウガノミタマノカミ)を祀っています。神社系のお稲荷さんに狐が多数祀られているのは、宇迦之御魂神の使いが狐であるためです。

しかしここで、

  • 狐は人を化かす(という誤解)
  • (狐の繁殖力の高さから)狐は仲間を増やして、人間の暮らしを脅かす
  • 狐は畜生(野生動物)だから、愚かな行い(人を祟る)こともやってのけるに違いない

荼枳尼天騒動で発生した火の粉は、狐に対する誤解に着火します。

その結果、お稲荷さん=祟り神といった誤った理解が広がりました。

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