源頼朝の遺志を受け継ぎ武士の世を実現「鎌倉殿の13人」北条義時の生涯を追う【四】:2ページ目
月夜の大乱戦、佐々木兄弟の連係プレーで堤信遠を討ち取る!
「者ども、かかれっ!」
「「「おおぅ……っ!」」」
さぁ、戦闘が始まりました。こっちが射かけてくるのを待ち構えていたかのように信遠の軍勢も驟雨のごとく矢を射返し、昼間のように明るい月夜の中で、両軍が白刃を煌めかせます。
「堤権守、覚悟!」
敵をなぎ倒しながら信遠の近くまで肉薄した経高でしたが、不意に敵の矢が肩に当たりました。
「ぐぅ……っ!」
「青二才が、我が首級を望むなど百年早い……ぐぁっ!」
その時、信遠の背後に回り込んでいた定綱と佐々木四郎高綱(しろうたかつな。二人の弟)が斬りかかり、見事に信遠の首級を上げたのでした。
「堤権守は、我ら佐々木兄弟が討ち取ったり!」
「「「おおぅ……っ!」」」
大将を喪った信遠の軍勢は蜘蛛の子を散らすように敗走していき、この勢いを得て佐々木兄弟や時政たちは、山木判官を攻略中の本隊へと合流します。
「むぅ……次は名のある者を討ち取るぞ!」
義時も相応に敵を倒したでしょうが、これといった武功を上げることは叶わなかったようで(※北条びいきの『吾妻鏡』に記録がないのであれば、きっとなかったのでしょう)、次こそはと奮い立つのでした。