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そうだったの?江戸時代 なんと毒見は3回も!?一生ずっと”冷や飯”を食わされ続けた江戸幕府の将軍たち【下】

なんと毒見は3回も!?一生ずっと”冷や飯”を食わされ続けた江戸幕府の将軍たち【下】

どっちが主君か判らない?自由がなかった将軍の生活

好き嫌いは厳禁で、食べ残しがあろうものなら、すぐに医者が飛んできて診察し、体調に問題なしとなれば「お口に合わない料理を作った」として料理役人が叱責を喰らう……将軍もそれを知っているので、どんなに嫌いなものでも頑張って食べたようです。

あと、食べこぼしがあった場合は必ず将軍自身が拾って(よほどの状態でなければ)食べたそうで、これは「食べ物と、それを作った人に対する感謝の気持ち」を忘れぬようにするためで、これは将軍に限らずどこのお殿様も同じでした。

ちなみに、朝食時は食事と同時進行で髪を結い直し、顔や生え際を剃ってもらうため、常に剃刀が自分の顔に触れた状態で食べねばならず、うっかりクシャミも出来ません。

理髪作業に当たる者は常に自分の表情を見ている訳で、つい顔を顰(しか)めようものなら、緊張のあまり手許を狂わせかねないため、いかなる時も平常心で食事をしなければならない……ここまで気を遣わされると、どっちが主君か分かりません。

先ほど紹介した通り、政務が多忙であれば昼食はお預けを喰らい、政務がまだ残っていれば夕食後だって残業します。あるいは午前中の座学に学者から宿題を出されていれば、それもやらねばならず、寝る直前まで自由な時間など皆無だったようです。

終わりに

作るのも大変、提供するのも大変、食べるのも大変……とかく大変づくしだった徳川将軍のお食事に比べると、私たち現代庶民はずいぶんと気ままに、美味しくご飯が食べられているものだと実感します。

食事と同時進行で顔剃りはしたくありませんが、一粒の米や一杯の水に感謝を忘れぬ姿勢を見習いながら、これからも温かいご飯を食べたいものです。

※参考文献:
杉浦日向子『一日江戸人』新潮文庫

 

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