実在した暴れん坊将軍!一度ブチ切れたら何をするかわからない暴君「徳川重倫」その2:2ページ目
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この暴君にも晩年は、徐々に落ち着いていったようです。
影響を与えたのは念仏行者の德本行者。あるとき、徳本上人が有田の須ヶ谷で修行していると、重倫は熱病にかかりますが、その原因を「徳本が領内で修行しているせいだ」と決めつけ、家臣に「連れてくるか、撃ち殺せ」と命じました。
上人のもとへやってきた家来は銃を撃つもののまったく当たらず、近づいて来た上人の姿を見てひれ伏したと言います。
家臣に連れられ重倫と対面した上人は、自分の衣の袂を覗くようにいいました。重倫が上人の衣の袂を覗き込んだところ、そこには自分が手打ちにした女中や家来の亡霊があふれており、その姿をみた重倫は驚いて、今までの行いを悔い改めて上人の弟子になったと伝えられています。
現在、東京都目黒区下目黒の五百羅漢寺という寺院には、徳川重倫と伝えられる像がありますが、僧形の姿で、まるで自分の全ての行為に反省した重倫が頭を丸めて仏道に入ったような印象にも見えなくないのです。
さすがの暴れん坊も、上人の徳によって感化されていったということでしょうか。
参考
- 『江戸「トンデモ殿さま」列伝』
- 『日本随筆大成 新装版 第1期 8 半日閑話 太田南畝』(1993 吉川弘文館)
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