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桃太郎には桃から生まれた「果生型」と、おばあさんが若返る「回春型」の2パターンある【1】

桃太郎には桃から生まれた「果生型」と、おばあさんが若返る「回春型」の2パターンある【1】

人気番組で紹介された「若返り説」の真実

先に挙げた「若返ったおばあさんが桃太郎を産む」のバージョンをご存じの方、実は多いと思います。なぜなら、テレビの人気番組『チコちゃんに叱られる!』で、この説が紹介されたからです。さらに、かつて一世を風靡した『トリビアの泉』でも同様の説が紹介されています。

そして先日放送された『博士ちゃん』にも、桃太郎博士ちゃんが登場し、この「若返り説」も紹介されました。

いずれも「赤本」や「黄表紙」などとよばれる江戸時代の草双紙、今でいう絵本に描かれた『桃太郎』を中心に説明されたものです。

要点をまとめると、「江戸時代まで桃太郎は回春型だった。それが明治時代に、教育上よろしくないという理由で果生型に変えられた」と読み取れる内容でした。

しかしこれに対して、昔話を研究している人には異論があるようです。情報を受け取る側に、偏ったイメージを与える可能性があるからです。果たして桃太郎が生まれたのは「桃から」か? 「おばあさんから」か?

どちらが本当でしょうか?

結論から先に言ってしまいます。どちらも本当です。ふたつのパターンは江戸時代以前から共存していました。「桃から生まれる」という展開は、明治時代に急に作られたものではないのです。

どうしてひとつの物語に、いくつものパターンが存在するのでしょうか。それを理解するには、「昔話を伝える=絵本を読み聞かせる」という思い込みから離れる必要があります。

桃太郎誕生の真実には、「絵本」として流通した桃太郎だけを見るのだけではなく、形のない「語り」によって伝承した桃太郎を知らなければ、近づくことはできません。

3ページ目 囲炉裏端の桃太郎と、絵本の中の桃太郎

 

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