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水木しげるの前にキタローを書いた男!ゲゲゲの鬼太郎の原型「ハカバキタロー」【4】

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辰巳の経歴と紙芝居界でのポジション

紙芝居草創期から活躍し、ブームの一翼を担った辰巳恵洋ですが、彼自身についての情報は少ないです。

わかっているのは、関西で看板書きをしていて、大正初期から東京で仕事をするようになったこと。そして昭和8年頃から紙芝居画家を生業にするようになったことです。
ちょうど伊藤正美と同じ頃に紙芝居業界に入ったわけで、この2人がそろわなければキタロー、さらには鬼太郎のヒットはなかったかもしれません。不思議な縁です。

キタロー以後もコンビを組んだ伊藤と辰巳ですが、プライベートまで一緒ではなかったようです。年齢差があったからと思われます。辰巳の正確な生年はわからないのですが、昭和8年頃には30~40代だったと考えられます。20代から見れば相当な大人です。

辰巳も、伊藤のように喫茶店に仲間と集まることはなかったようです。血気盛んな若者たちを一歩引いたところから見ていたのでしょう。

また辰巳は、紙芝居の世界では山川惣治に並ぶ大物だったといいますから、若者にとっても近寄りがたかったかもしれません。

娘・辰巳まさ江は挿し絵画家に

辰巳恵洋の娘・まさ江もまた、絵の道に進んでいました。
昭和20年代、挿し絵画家として活躍したのです。少女向け雑誌のイラストや児童書の挿し絵等を描き、人気を集めました。

まさ江の絵は可愛らしく怪奇の要素はありません。だけど、描かれた女性の艶やかさに辰巳の絵の名残も見えます。ここから辰巳版キタローを想像するのも、不可能ではなさそうです。

5ページ目 辰巳画の傑作紙芝居「猫三味線」が復活していた

 

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