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水木しげるの前にキタローを書いた男!ゲゲゲの鬼太郎の原型「ハカバキタロー」【4】

水木しげるの前にキタローを書いた男!ゲゲゲの鬼太郎の原型「ハカバキタロー」【4】:3ページ目

左目は小さく、右目は大きくギョロっと見開いていて、アンバランスな印象を与えます。前歯は大きな出っ歯です。

髪は坊っちゃん刈りというか、現代の男の子にもある髪型で、普通な感じが意外です。しかし、加太こうじは「『ハカバキタロー』は長髪を振り乱した少年」であると記しています。おそらく戦前は、これでも長髪だったのでしょう。

服装は上半身しか見えませんが、和服を着ているのはわかります。ちゃんちゃんこ、もしくは半纏を羽織っているようにも見えます。

水木しげるとは絵のタッチが違います。だけど目や髪型など、キャラクターデザインは共通する部分があります。
しかし、ゲゲゲの鬼太郎の原型! 幻の紙芝居「ハカバキタロー」と紙芝居作家たち【2】 で書いたように水木は『ハカバキタロー』の現物を見ていません。

それでも共通点があるのは、加太こうじや鈴木勝丸から説明を聞き、イメージをふくらませたからでしょう。

加太によれば、辰巳のキタローは「グロテスクな形相」だったといいます。確かにおどろおどろしさはありますが、線がきれいで端正な印象もあります。加太は、辰巳の絵は「達者な筆使いと正確な時代考証で、素人っぽい画家が多い紙芝居の世界では異例だった」とも表現しています。

つまりキタローは、どぎついだけでない深みのあるキャラクターだったと考えられるわけです。

辰巳が描いたキタローは、ほとんど失われました。しかしその他の作品で現存するものがあります。詳細は後述しますが、そこから辰巳の画力を知ることができます。

怪奇もので評判を呼んだ辰巳の絵は、流麗で艶っぽさもあります。水木とは別の魅力をもった画風であり、キタローであったことが想像できるのです。

4ページ目 辰巳の経歴と紙芝居界でのポジション

 

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