吉原遊廓の内部を徹底解剖!花魁の部屋から”折檻部屋”まで驚きの実態
前回の記事では、吉原遊廓の全体像をご紹介しましたが、
『べらぼう』に登場した吉原遊廓はどんな構造だったのか?見取り図や浮世絵で内部を歩く
今回は吉原に並ぶ妓楼(ぎろう)の中から、一つの女郎屋に焦点を当て、その内部を覗いてみましょう。
入口
妓夫台
入り口の脇に妓夫台(ぎゆうだい)という台がありました。その台には牛太郎(ぎゅうたろう)と呼ばれる客引き係の男性が乗って、通りかかる男性客に対し「おあんない、おあんない(お上がりなさい、お上がりなさい)」などと声をかけて呼び込みます。
張り見世
妓夫台の横には、通りに面して張り見世と呼ばれる格子窓の部屋が張り出しています。吉原といえば、恐らく多くの人がこの張り見世を思い浮かべるでしょう。
暮れ六つになると振袖新造と呼ばれる若い見習い女郎たちがこの張り見世に並び、三味線で「清掻(すががき)」を始めます。その音に合わせて若い衆が下駄箱の下足札をカラカラ打ち鳴らして、実に賑やかだったそう。
振袖新造が鳴らす三味線の音が響く中、綺麗に支度を整えたお姉さん女郎たちが2階から降りてきて、ずらりと勢ぞろいすると見世開きというわけです。ちなみにその日予約が入っている女郎は張り見世に並びません。
1階
土間・台所
入り口から建物の中に入ると、まず広い土間があります。土間には台所や井戸まであったとか。行商人は土間に入ってきて魚や野菜を置いていき、下働きの者たちがその食材を同じ土間の台所で料理しました。
内証
奥には内証(ないしょう)といって、妓楼の主人とその妻であるお内儀が過ごす事務所がありました。
そこには縁起棚と呼ばれた神棚が必ず据え付けてあり、見世開き前には主人が必ず神棚に向かって拍子木を打ち、さらに鈴を鳴らしました。この音を合図に、先ほどの振袖新造たちが清掻を始めるのでした。
ちなみに内証は見世開きになるとすだれをおろすので、お客の目に触れることはありませんでした。
生活スペース
1階の奥には楼主の家族の生活スペース、縫物をするお針子さんが使うお針部屋、女郎用の便所、下級女郎や禿(かむろ)の雑魚寝部屋、奉公人の雑魚寝部屋などがありました。
行燈部屋
一番奥には行燈部屋(あんどんべや)といって、昼間に使わない行燈をしまっておく倉庫のような部屋がありました。ここは折檻部屋にもなり、悪事を働いた女郎はこの部屋に閉じ込められ折檻されました。また、遊んでおいて代金が払えなくなった客を逃げないようにいったん閉じ込めておいたり、間夫(まぶ)と呼ばれた彼氏を隠しておいたり、様々な使い方がされていたようです。




