天使のリングと仏像の”後光”はもともと同じものだった!?仏教芸術と西欧美術の知られざる起源
西洋絵画につきものの「天使の輪」
赤ちゃんの髪の毛のツヤを「天使の輪」と表現したりしますが、それくらい「天使の輪」という表現は一般的なものです。
もしも天使の絵をイメージしろと言われたら、頭に光の輪があり、背中に羽があり、姿は無垢な裸体という幼児の絵を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
こうした天使の描写は、言うまでもなく西洋の絵画が起源です。古い西洋絵画で描かれている天使や聖母やキリストは、よく頭上に天使の輪やそれと似た意味合いの光の輪がついています。
この光輪を英語で表現すると「halo」となりますが、意味は「聖像などの頭部を囲む光」となります。また、イスラム教の場合は、預言者の身体全体や頭の上で炎が勢いよく燃えているような表現がなされています。
仏教美術につきものの「光背」
さて、こうした光の輪の表現は西洋だけのものではありません。日本の仏像にみられる光背と呼ばれる装飾のことは、知っている人も多いでしょう。
ものによりますが、由緒ある立派な仏像は、頭の後ろに円や放射状の線で、光が放たれるさまが表現されているものが多くあります。これが光背です。
その種類は円光、二重円光、放射光背、宝殊光背、火焔光など、仏様のタイプなどによってさまざまですが、いずれも背後から神秘的な光が差すことで、仏様の智慧やご利益などを表現しています。
これは単なる「円と線による光の表現」にとどまらず、浮彫や透かし彫りなどでデザインして技巧を凝らしたものも多くあり、仏像の美しさや崇高さ、芸術的価値を高めていると言えるでしょう。
この光背がもとで、偉大な人の背後から光が差しているように見える後光が差すという表現が生まれたりもしました。
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