究極の信仰の形。生きながら入滅し「即身成仏」になるための過酷な修行とは?:2ページ目
いよいよ土の中へ「土中入定」
いよいよ土の中に入ることを「土中入定(どちゅうにゅうじょう)」と言います。
その前に準備として、内臓が腐敗したり虫が湧くのを避けるため、漆の樹液を飲みます。勿論、漆は人体には「毒」です。それを飲むのだからもう、支えているのは精神力だけといえるでしょう。
そして地下3メートルぐらいのところに作った石室に入ります。石室の周囲には湿気を防ぐために木炭が敷き詰めてあります。
石室のなかには、座棺という木の箱があり、僧侶はそのなかで坐禅をします。僧侶は中に入り、入滅するまで鈴を鳴らしながら読経するのです。
それだけでは窒息してしまうので、石室には大小の竹筒が通してあり、太い方からは弟子たちが水を送ります。また竹筒には鈴が通してあり、毎日決まった時間に弟子が鈴を鳴らし生存を確認します。中の僧侶からの返戻の鈴が聞こえなくなると、弟子たちは成仏したことを知ります。
弟子たちは竹筒を抜いて石室を密閉します。御仏を掘り出すのは、それから1000日後。
こんなに過酷な修行をしたにも関わらず、掘り起こした時に人間の形状が保たれた仏だけが即身仏として祀られ、朽ち果てていた場合は無縁仏として供養されてしまうのです。
しかしどのような仏であれ、人々を救う気持ちがあったことには変わりません。即身仏を前にすると、その神々しさに畏怖に打たれるそうです。