猿、狼、ニワトリまで?「遠野物語」にも登場する奥州で恐れられた妖怪「経立(ふったち)」とは?
「いい子にしないと、猿の経立(ふったち)に喰わせちまうよ!」
昔から、奥州の東北(青森・岩手県)ではそう子供を脅して躾けるご家庭もあるとか。
そんな泣く子も黙るほど恐ろしい経立とは、いったいどんな妖怪なのでしょうか。
ケモノが立って歩き出す
経立とは、異常に長生きした動物の化けた妖怪で、その多くが二足歩行するようになったことから
「年、経(ふ)りて立ちぬ」
つまり、年を経て立った様子を「ふりたち」と呼び、それが訛って「ふったち」となったそうです。
基本的にはどんな生き物でも化けるようで、多く伝説が残るメジャー?な猿をはじめ、狼(おいぬ。御犬)や犬猫、中には鳥や魚まで化けた事例もありました。
そう言えば、長生きした猫の尾が裂けて二本となり、立って歩くようになる「猫叉(ねこまた)」も、経立の一種と言えそうです。