生きるか死ぬかの瀬戸際…平将門が迷走した悲話が残る東京都の最高峰「雲取山」とは?:2ページ目
悲劇を伝える看板は12個
看板は12個あり、立てられたら場所の地名や名称を伝えています。将門一行は鴨沢登山口から七ツ石山という小ピークを越えて、雲取山を目指したようです。しかし看板は途中で終わっており、彼らの最終目的地がどこだったのかはわかりません。
その看板をざっとたどっていくと…
- お祭りと鴨沢の福寿寺…将門一行が近隣の住民も交え三日三晩お祭り騒ぎをしたことから「お祭り」という地名がついた。近くの福寿寺で正室の紫の前が体を休めていたが、酒宴の最中に敵が近くに来たことを知り、再び七ツ石へ向かい始める。
- 釜場(かんば)タワ…ここまでくれば安心と、一行が自炊する
- 小袖…将門は川で洗濯を始めたが、夕立に遭って小袖を置き忘れてしまう
- 茶煮場(ちゃにっぱ) …雨がやんだので、みなで一服する
- 風呂岩(すいほろいわ)…簡単な岩風呂を造り、体を休める。その後敵に見つからないよう打ち壊したが、その岩が白石となりその形を留めている。
- 堂所 …鎧を脱いで休む
逃げては休み、休んでは逃げる一行の緊迫感が伝わってきます。悲劇はここから始まります。
- 紫久保…正室の紫の前が突如自害!力尽きて、足手まといにならぬための決断だろう、と看板は伝えている。
- 七ツ石神社と七ツ石山…将門の影武者七人衆のわら人形を作り並べたところ、敵がそれを射貫いた瞬間、岩に変化したという。
- 大血川の悲劇…なんと家臣の妻や姫ら99人が一斉に自害してしまう。その血は七日七晩、川を赤く染めたという。故にここから流れ出る川を大血川と呼び、川に流れる川海苔は恨みがこめられた髪が変化したものだという。
- ちなみに大血川は雲取山の北に位置していますが、近くにはその99人の御霊を鎮める九十九神社(つくもじんじゃ)もあります。
生きるか死ぬかという瀬戸際で、もう一歩も歩けないという状態の姫たちの絶望がわかる気がします。七ツ石神社は朽ち果て、少し寂しい雰囲気を醸し出していました。