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お茶漬だけでも十数万円!?もてなしも値段も最高峰、江戸時代の三つ星料理店「八百善」

お茶漬だけでも十数万円!?もてなしも値段も最高峰、江戸時代の三つ星料理店「八百善」:2ページ目

水にも漬物にもこだわった結果…なんと、お茶漬だけでも十数万円だった!

八百善が如何に料理ともてなしにこだわりを持っていたかを示すのが、この有名エピソードです。とある粋人の一行が、
「酒宴にも飽きたなあ。八百善でお茶漬と漬物でもサラサラっと喰いてぇもんだねぇ」
と語らってお茶漬を注文しますが、半日も料理が出てきません。ようやく出た料理は、お茶漬と、春先には珍しい瓜と茄子の粕漬けを刻んで混ぜたもので、中々に素晴らしい逸品でした。

お勘定をしようとすると、一両二分と言う破格のお値段!一両が現代価格で3~5万円程度だとすると、十万円は軽く超えます。これには粋人達も驚き、
客「驚いたねぇ。漬物が高級品だったにしても、こいつぁ高すぎませんかい?」
主人「実は、お茶に合わせたお水が近くにはございません。そこで、玉川上水まで良い水を汲みにやるなどして、お作りしたものです」
水にこだわるところが、飲料水に不便だった江戸らしくはありますが、八百善がこだわったのは水だけではありません。客の粋人達が指摘したように漬物も季節外れながらも高級なものでしたし、米も越後の良質なもの、お茶も宇治の玉露と、材料すべてにこだわっていたのです。

この徹底したこだわりには粋人達も大いに感心し、それによって八百善の名前はますます有名になります。こうして八百善は高級料亭として名をとどろかせ、お金持ちの文人粋人だけでなく、ついには上級武士や大名、将軍家と言った方々のお出ましまでもあるくらいに成長したのでした。次項では、幕末から現代にいたるまでの八百善について紹介致します。

創業享保二年 江戸料理「八百善」

 

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