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冷やし中華まであった?意外に先進的だった平安時代の麺料理:平安時代の雑学【7】:3ページ目
高級品の麺はお供えの定番で薬としても扱われた…でも、独り占めすれば祟られる?
最後に、平安時代の文学書である『今昔物語』から麺にまつわる逸話を紹介しましょう。ある寺の僧侶が麦縄(麺)を手に入れ、客人に振る舞ってもまだ残っていたのにも関わらず、『古い麦は薬になるからナ』と人に与えることもせず、隠してしまうと言う説話が収録されています。
なお、その意地悪な坊さんが麺を一年後に取り出すと蛇になっていたが、他人には食べ物にしか見えなかったと言うオチがつきます。つまり、寺に上納されたもの(つまり仏様へのお供え)を、勝手に奪うのは良くないことだよ…と戒める話です。
一方でこの説話は、麺に使われる麦が薬の一種として扱われたこと、寺社に納められるお供えとしても麺が使われていたことを示す、貴重な資料でもあります。このようにして、当初は異国の珍味や薬、或いは宗教色がやや強めの食べ物として、麺類は日本に伝来しました。庶民の味として世界的に知られる麺料理は、近世以降となるのですが、それはまたの機会にお話いたします。
参考文献:「日本人は何を食べてきたのか」永山久男
トップ画像:酒飯論絵巻
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