鳴かぬなら…戦国三武将を表現した有名なあの詩は誰が詠んだか知っていますか?:3ページ目
この訪れた「誰か」というのがとっても気になりますね!あとの二首も「憚る」と言って、誰に仮託して詠んだのかすらも伏せています。幕府の耳に入ったら危ない人なんでしょう。と・くれば、徳川将軍の誰かを想定して詠んだ可能性が高まりますね。
本当は静山自身が詠んだのに、それを伏せているだけだったりして・・・と思ったら、更に古い文献『耳嚢』〈1784(天明4)年頃~1814(文化11)〉にこの狂歌が記されていたので、それは違いました。
3句を静山が詠んだという説もありますが、一大名が記した文献として甲子夜話が有名なことや、娘の愛子が明治天皇の祖母で、静山は明治天皇の曾祖父としても知られていることなどもあって、静山の名前が一人歩きしてしまったのでしょうか。
なんにせよ、有名な狂歌として今後もずっと伝えられていくのでしょうね。
勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし
彼が記した有名な言葉があります。それが
「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」
こちらは静山が書いた剣術の指南書「剣談(けんだん)」の中にある言葉。勝負に勝つときは偶然や運もあるが、負けるときは必ず原因がある・・・という意味で、スポーツ界や棋界ではよく使われる格言になりました。野村監督が発して広く一般にも知られるようになりました。
教科書には載らないが日本人なら誰しもが知っているこの三句。その部分だけではなく、一から甲子夜話を読んでみたい気もしますが、278巻は気が遠くなりますね!
参考文献:『武士道』新渡戸稲造、『甲子夜話』松浦静山