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なんと江戸時代にもあった旅行積立、そして高級ツアーも。江戸時代の旅行事情【2】

なんと江戸時代にもあった旅行積立、そして高級ツアーも。江戸時代の旅行事情【2】

講の運営者は御師と呼ばれる神社の営業マン。

講は御師(おし)と呼ばれる旅行代理店のような組織に運営されており、ツアーの管理者として宿泊場所の提供(御師の家)や観光案内役、寺院に神楽の依頼などツアー客のお世話をしていました。

御師は神社、寺に属しており、その主な仕事は信仰を広めるための営業外回りです。毎年講員の家々を周り、薬や御札や暦(カレンダー)を配り、初穂(※江戸時代以前は初尾(はつお)と発音)を回収するのも重要な御師の役割でした。

初穂はその年に最初に実った(収穫した)稲穂のことで、神仏にお供えするものです。講員から集めるこの初穂は、社寺にとってかなり重要な収入源となっていたようです。

ツアーの参加者が伊勢に着けば案内も含めて御師が全て無料で世話をしてくれます。参加者は伊勢神宮を参拝して、御師の家に巫女や楽師を呼んで神楽を奉納(見物)します。

神楽が終わるとごちそうが振る舞われ、お土産も貰えるのですが、神楽には十五両以上が必要となります。その他の旅費(宿泊費や食費)、を考えると庶民が個人で捻出するのは不可能な大金です。毎月無理の無いプランで積み立てる講という制度あったからこそ、貧しい庶民にも伊勢に参拝できるチャンスが与えられたという訳です。

全ての講が健全な物だったという訳では無く、積立金を持ち逃げされる詐欺にような犯罪もあり、講という制度は無くなっても、こういった部分は現代と変わらないというのが皮肉な話しです。

 

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