200年の時を経て春画が蘇る!江戸時代の技法で春画を復刻するプロジェクトがスタート
江戸後期に制作と販売が禁止されてから長い間日本国内で日の目を見ることがなかった春画。200年の時間を経て、春画を復刻するプロジェクトが始動・進行しています。
今回のプロジェクトで江戸当時と同じ技術で復刻されるのは、1785年頃に発行された、鳥居清長の「袖の巻」。清長の春画作品の中でも最も知られている本作は全12図からなるシリーズで、浮世絵には珍しい横長の画面に描かれた構図と、シンプルな線で描かれた美しさが特徴の作品。数ある春画の浮世絵版画の中でも健康的な美しさにあふれ、品格を備えた、現代でも広く楽しんでもらえる作品です。
2017年度は3図の復刻に挑戦しており、2018年1月現在、彫師が木版を掘り上げる工程が完了し、摺師が和紙に絵を摺り込む工程が進行中とのことです。完成した復刻作品は、2018年1月24日〜26日に東京・銀座の靖山画廊で開催される展示会で発表されます。
性的な表現を含むためタブーとされがちな春画は、豊かな発想やユーモアがベースにある、日本で創り上げられた独自の美の世界。国内では日陰に咲く花の存在でしたが欧米では高く評価され続け、近年になって国内外で春画の展覧会が開催されたことがきっかけとなり、春画再評価の機運が高まっています。
江戸当時の最高の彫摺技術が駆使されていた春画は、その高い水準を現代に復刻することが非常に難しいとされていました。現代で春画の高度な技術を継承する職人の高齢化もあり、技術の存続も危機に瀕しています。そこで、「袖の巻」の復刻作業を通じて春画の技術を次世代の職人に継承し、日本独特の文化が正しく理解され受け継がれていくことを目標に、この春画復刻事業が開始されることとなりました。
東京オリンピック開催の2020年には全12図の復刻を完了し、200年ぶりに国内で春画の伝統版画の販売が予定されています。