- No.13十五夜も十三夜も正月もサトイモ!日本では古くから神聖な食材とされてきた「里芋」の歴史
- No.12江戸時代グルメ雑学(12)寒い日の味方けんちん汁は材料を粗末にしないエコ料理
- No.11江戸時代グルメ雑学(11)元ネタは中華?それとも洋食?実は国際派の鍋料理・鶏の水炊き
江戸時代グルメ雑学(3)将軍も惚れ込んだ江戸初期の「天ぷら」ってどんなもの?:2ページ目
2ページ目: 1 2
家康が好んだ天ぷらの正体は南蛮漬け?
元々、日本では中国から油で揚げる調理法を取り入れていたのもあり、揚げ物は古くから存在しました。ただし、それは野菜中心の精進料理、もしくはお供え物に使われる揚げ菓子を作る方法でした。
そうした揚げ物文化を確立していた日本人は、牛肉や乳製品はさほど食べずとも、欧風の魚料理を基にした揚げ物を独自にアレンジし始めます。その珍味に惚れた人は多く、上方商人の茶屋四郎次郎もその一人でした。
そんな彼は、かねてから懇意だった徳川家康に謁見した際に上方で人気の料理として「鯛をかやの油で揚げ、ニラを薬味にした」南蛮料理を紹介し、家康もそれに興味を示しています。それが天ぷらだったとも言われていますが、どちらかと言えば揚げ物に薬味を加える点では南蛮漬けか、中華料理の油淋鳥に近いですね。
この『鯛の天ぷら』を試食した家康がその直後に体調を崩し、程なくして亡くなったために天ぷらが死因とする説は今も根強く残っています。良かれと思って勧めた茶屋氏も、さぞかしショックを受けた事でしょう。
しかし、その前から家康には胃腸の病があった事と、亡くなる3ヶ月前に供された料理だったことから、天ぷら死因説は俗説とも言われています。何れにしても、徳川幕府の初代将軍とその側近がのめり込んでしまったことで、天ぷらは日本史に深く刻まれる事となったのです。
江戸時代グルメ雑学
- 江戸時代グルメ雑学(1)「握り寿司」は江戸っ子が生んだファストフード
- 江戸時代グルメ雑学(2)落語「時そば」に出てくる"花巻、しっぽく"ってどんなものなの?
- 江戸時代グルメ雑学(3)将軍も惚れ込んだ江戸初期の「天ぷら」ってどんなもの?
- 江戸時代グルメ雑学(4)串カツスタイルだった江戸の「天ぷら」が現代の形になるまで
- 江戸時代グルメ雑学(5)江戸っ子が好んだ「初鰹」はどれだけ人気だったの?
- 江戸時代グルメ雑学(6)江戸時代の麺といえば「夜鷹そば」名前の由来は遊女と鷹匠?
- 江戸時代グルメ雑学(7)江戸の高級寿司屋バトルにお江戸は騒然?
- 江戸時代グルメ雑学(8)秋といえば!のサツマイモ、元々は不作対策の作物だった?
- 江戸時代グルメ雑学(9)江戸の焼き芋屋さんはまるでファストフード店
ページ: 1 2
バックナンバー
- No.13十五夜も十三夜も正月もサトイモ!日本では古くから神聖な食材とされてきた「里芋」の歴史
- No.12江戸時代グルメ雑学(12)寒い日の味方けんちん汁は材料を粗末にしないエコ料理
- No.11江戸時代グルメ雑学(11)元ネタは中華?それとも洋食?実は国際派の鍋料理・鶏の水炊き
- No.10江戸時代グルメ雑学(10)そうだったの?冬グルメ「ネギマ鍋」の”マ”の意外な意味
- No.9江戸時代グルメ雑学(9) 焼き芋の歴史:江戸の焼き芋屋さんはまるでファストフード店