朝ドラ「風、薫る」直美が目指す“届ける看護”…モデル・鈴木雅が日本初の『派出看護』を始めた理由:2ページ目
「在宅看護の必要性」を何度も体験してきた直美
以前、直美が看護婦見習いの頃。同じ長屋に住むトヨ(松金よね子)が、直美に「立派な病院で働くようになってすごいね」と褒めていました。
「私ら貧乏人には縁のない立派な病院だもの」というトヨの言葉に、直美は「……あぁ、そうか。お金がないと大学病院には診察にいくことはできないか」と気がついたようでした。
直美は職場として普通に通っている大学病院も、長屋の住人にとってはまるで「別世界」だったのでしょう。この時、直美はそんな現実が胸に残ったのだと思います。
その後、第九週『看護婦とアメ』のときのこと。
一ノ瀬りん(見上愛)は、看病婦の永田フユ(猫背 椿)に「手術介助」の方法を教えて欲しいと頼みますが「そんな時間があるなら、家で寝ている亭主の看病をしたい」と冷たく断わられます。
そこで、りんと直美はフユの自宅に出向き、仕事中にハシゴから落ちて足を痛め寝ているフユの夫・永田康介(シソンヌ・じろう)を訪ねて看護をします。
枕カバーを取り替えたり、縁側で髪を洗ったり、あれこれと細やかな看護に感謝する
夫。自宅で寝ている病人の看護や介護をすることの重要さと大変さを身をもって知った二人でした。
この経験が、のちに直美こと鈴木雅が派出看護婦会を設立することの伏線になるのだなと感じた回でした。
お金がなく病院を断り続けた長屋の住人を看取る
そして、第15週『差し出せぬ手』のとき。
りんと直美が住む家に、長屋に住む丸山(若林時英)が助けを求めてきました。具合の悪かったトヨの容体が悪化したのです。
長屋に住む皆に囲まれて亡くなったトヨ。病院に連れて行こうという提案も医者を呼ぼうという提案も「お金がないから」と断り続けていたトヨでした。
直美は、自分が看護婦なのに「お金がないと病院にもいけない、医者も呼べない」という厳しい現実を突きつけられました。
けれども、涙は流すものの、取り乱すことなくトヨの脈を冷静にとり、最期を看取ります。
具体的な計画はまだないにしても、「お金がなくて医療にアクセスできない人がいるなら、こちらから出向きたい」という思いを強くしたのではないでしょうか。
また、在宅でも「自分は誰かの死を冷静に看取ることはできる」と確信したような気もします。

